誰もいない世界に迷い込んで、少女は世界の出口を求めて彷徨う

 もう、ひとこと紹介に書いたとおり。
 だれも居ない世界、空に浮かんだ街でそこから脱出しようと彷徨う少女の話。

 現代的な構造物・世界には違いないのだけれど、そこに暮らす少女の息づかいが伝わってきそうな文章力はまさに圧巻。不思議な世界とそこでの生活というのを、ここまで生々しく描けるものなのかとちょっとびっくりしました。
 ちょっとこれは余人をもってして替えがたいセンスであり、現代ファンタジー作品の中でも飛び抜けているのじゃないかと感じます。(あまり僕も多く読んではいませんが)
 この文章に浸るだけでも読む価値があるのではないでしょうか。

 最終的に少女は世界の謎にたどり着き、元の世界に戻るための試練に立ち向かっていくことになるのですが、せつなさと希望に満ちたラストもまた素晴らしい。

 とても素晴らしい作品でした。おすすめです。

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