【怪談】妖怪を信じない男

エピローグ

　学は高校を卒業し上京した。

　たった一人の卒業式は、地方紙の片隅に小さな記事となって掲載された。

　だが、生徒がたった一人であれば入学式も記事になったのではないか？　しかし、そんな疑問を持つものはいなかった。

　そして、学の通っていた高校は廃校となった。

　日本では、毎年、数十の高校が廃校となっている。

　それは本当に少子化のせいなのか？　いつの間にか、生徒の数が人知れず減っているということはないのか？

　だが、それを確かめるすべはない。

　何故なら、神隠しにあった人間は、最初からいなかったことになるのだから。

　夕暮れ時の通学路、もしかして、あなたの後ろにも……。

―了―