第5話 あの時の会話

「もう、私行くね……」


友香は苦しそうな表情を浮かべながら、その場を立ち去ろうとする。


「待ってくれ……田村!」


間宮が、去りかけた友香の腕をつかんだ。そして……。


「如月に、今も追いかけられてる」


友香が驚いた表情で、間宮の方を振り返った。


「えっ……?」


「『あの事故』から後も、登下校の時、いつも俺の背後にいる……」


「そん、な……嘘でしょ……?」


「嘘じゃない。亡くなる前からも、俺を追ってること気づいてたけど……亡くなってからも、まだ追っかけられてる……」


「何で……間宮君なの。何で、私に……」


「俺だって、どうしていいか、分からない」


「……どうして、私じゃないのよ!!」


友香は目に涙をためながら叫ぶと、その場を走り去っていった。



麗奈。


何で、私じゃなくて、間宮なの?


誰よりも、麗奈の側にいたの、私じゃない?


私達ずっと親友だよね?


幽霊でもいい。


会いたいよ、麗奈……。


麗奈……。


 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

貴方だけを 月花 @tsukihana1209

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ