事実の羅列が持つ圧倒的な迫力

日本のメディアが報道しない世界情勢について、ここまで詳細にレポートを書き続けた作者の熱量にただただ感服する。中東での紛争は、歴史的にその背後に存在する大国間のパワーバランスを秤量するという意味合いもあるが、だがそれで多くの人命が失われたり人々の生活の場である都市が破壊されたり、戦争というのはそう簡単に拭い去れない不可逆的な傷跡を残すものである。現在、このような状況はまったく対岸の火事ではなく、例えば香港や台湾はより我々に身近な話題であるし、インド中国国境の紛争も絶え間ない。今後いかに我々が世界の情報を取捨選択し判断の礎とすべきなのか、本作において、作者は大きなサジェスチョンを我々にもたらしたと考える。
長期にわたる連載で、精神的負担も多大であったとの作者の言葉もあり、一読者ではあるが本作品への心からの賞賛が少しでも作者への慰労となる事を願ってやまない。
すばらしいレポートを、ありがとうございました。

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