おわりに

あとがき






 ここまで、この長い物語にお付き合いただき、ありがとうございました。

 あなたが、時間をかけて読んだ価値があった、と思えるのなら幸いです。

 また、私なりに、朝の読書活動において、ひとりの保護者として、児童生徒の方に読んでもらいたい、あるいは先生の方が児童生徒に薦めたい、また、出版社が出版したいと思えるものを念頭に置いて執筆したつもりですが、いかがでしたでしょうか。


 さて、いきなりの私事ですが、私には娘がいます。その子が昨年小学校に進学して、朝の読書活動という活動があることを知りました。それで学校から借りてくる本の出版元を見てみると、大体がKADOKAWAでした。さすがは辞典や教科書で鳴らした角川書店(私が小さい頃はこういう名前でした)だと感心したものです。

 一方で、私は娘が生まれる前、二次創作で小説を書いていました。一度離れましたが、またそろそろやってみたいなと思い、小説投稿サイトを渉猟していると、このカクヨムというサイトがありました。そして、そこでは朝の読書活動、通称朝読というカテゴリをコンテスト内に設けていることを知りました。


 で、やってみようと思い、筆をってみたところ、時間が無いので断念しました。


 ええ、と思われたかもしれません。

 実はこれ、2019年の話です。PTAの役員やら、放課後児童クラブの父母の会副会長やら、やることがあって、時間が無かったのです。

 そうこうするうちに、学年が変わり、役員関係はお役御免となり、そして新型コロナウイルスが流行し、多少は時間ができました。

 じゃあ、やってみるかと思ったところ、ちょうど第一回角川武蔵野文学賞というコンテストが開催され、四千字以内の短編を募集しているので、多少しか時間がない私には手ごろだと思いました。


 で、やってみようと思い、筆をってみたところ、字数がオーバーしたので断念しました。


 ええ、と思われたかもしれません。またしても。

 実は、この断念した作品こそが、本作「河越夜戦 〜相模の獅子・北条新九郎氏康は、今川・武田連合軍と関東諸侯同盟軍八万に、いかに立ち向かったのか〜」です。

 ちなみに、その時のが、拙作の北条新九郎氏康が河越に出陣する前に、所沢で演説するところです。これは所沢に角川武蔵野ミュージアムがあるからです。少しでもアピールしたいという必死さが出ております。申し訳ございません。

 さて、この内容では四千字以内は無理でしょ……と挫折する私は、それならと氏康の父・北条氏綱の合戦とか、氏康の初陣とかを書いて、いわゆる読者選考の無いコンテストがどんなものかを体験することができたのです。

 そうこうするうちに、もうとっくに忘れていたコンテスト(忘れるな)、すなわち第6回カクヨムWeb小説コンテストのお知らせが発表されました。


 いや、今度は断念しませんでした。


 ただ、保険として、かつ、本作のラスボスである今川義元と太原雪斎への理解を深めるために、「花倉の乱 ~今川義元はいかにして、四男であり、出家させられた身から、海道一の弓取りに至ったか~」という一万字の短編を上梓し、カクヨムWeb小説短編賞2020に備えました。


 それから、改めて本作の構想を練り(当初は学生の男女を河越と河東へタイムスリップさせる案を考えていた)、大体10月の頭くらいから、こつこつと書いていきました。

 しかし、書いているうちに、これではコンテストの規定の10万字を越えられないと危惧し、どんどんと内容を盛っていきました。

 かくして、武田晴信や原虎胤、真田幸綱という面子めんつが参戦し、さらに、第2部の頭に氏康の活躍が欲しいな、と里見家の参戦を招くことになりました。

 結果、20万字クラスの作品となってしまいました。私としては10万字ジャストをねらっていたのですが、何か長くなって申し訳ないです。


 ただ、繰り返しになりますが、朝の読書活動で、将来、私の娘が読むとしたら、娘と同世代の方が読むとしたら、こういう物語を読んで欲しいな、ということを念頭に置いて書きました。また、学校の先生やKADOKAWAのような出版社が児童生徒にすすめるとしたら、こういう物語にして欲しいということも念頭に置いて。

 しかし、最近の彼女はミステリィを愛読していて、こういうのは読まないかもしれません。それはそれで仕方ないですね。


 さて、ここで少し、私の二次創作時代のことを語らせて下さい。かつて、07th Expansion Party様の公式サイトに、「ひぐらしのなく頃に」の公式掲示板があり、そこに「雛見沢物語」というスレッドがありました。そこには、SS(サイドストーリィあるいはショートストーリィの意)を投稿する、という流れが自然にできておりました。ちなみに、現在、その掲示板はもうありません(製作者様の意向で閉鎖されました)。

 そこで私はgyroという筆名で(今のユーザーIDと同じです)SSを投稿し、知り合った方たちとレスを送り合い、時には合作したりと、文章修行をさせてもらい、盟友とも言える仲間と知り合えたのです。

 私がここカクヨムに小説を投稿し得る筆力が身に付いたのは、この文章修行の日々が、盟友、仲間との日々があったからだと思います。

 今、その盟友、仲間たちに私信を送らせて下さい。

 名曲「you」のひそみにならい、「あなたは今どこにいますか」とは言いませんが、「私は今カクヨムここにいます」と。



 さて、最後に、繰り返しになりますが、ここまで読んでくれた、あなたへ。


 ありがとうございました。




 四谷軒 拝






【参考文献】

黒田基樹「関東戦国史 北条VS上杉55年戦争の真実 」(角川ソフィア文庫)

呉座勇一「応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱」(中公新書)

Wikipedia

気象庁ホームページ

天文学辞典(日本天文学会)





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河越夜戦 〜相模の獅子・北条新九郎氏康は、今川・武田連合軍と関東諸侯同盟軍八万に、いかに立ち向かったのか〜 四谷軒 @gyro

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