異能を持つ二人の関係性を描いて、それが徐々にまとまっていく様をある意味、年表の中を飛び交っていくリズムのようなものを想像させる一作、たとえばそれが数百年、数千年のスケールとなれば終わりが見えずとも互いが互いを助け合ってきたと、人類史の中で輝きを放つ二人の軌跡は永遠をあらわした一つの形であって、どんな時代の嵐が訪れてもきっとこの二人なら乗り越えられると信じられることから、人類にとってもこの二人の関係は希望だと思える。
聖性が文章で構成されてる限りにはこの作品は輝きを放ち続けるのだと、この先に続いて残ってほしい考えの組み方、お見事です。
本当の孤独とは人との関りがないことではない。(いやまあ、ボッチも確かに孤独だけど)
人生で関わる全ての人が先に逝ってしまい、自分だけが永遠を生きねばならないとしたら、それこそが孤独であると言えないだろうか。
そんな生の中で唯一築かれたかけがえない友情。
「不意に生きることに飽いてしまったような気がすることもあったけれど、ハルワと会う約束があったので、なんとか生きていた。」(本文より)
生に飽きたとしても、ほんの小さな一つの約束によって絶望することはなかった。
二人の幸せな結末にも安堵する。
一生付き合える友の存在を羨ましく思える一遍だった。
数奇な能力を持って生まれた二人の運命のお話。
始まりのディストピア感を遥かに置き去りにしてぐんぐんと未来へと物語は進んでいきます。孤独のはずの二人の邂逅と別れはとても穏やかで、むしろ祝祭感すら感じるようなお話の運びにとても惹きつけられます。この二人はお互いの存在があるからこそ祝福されているのだと感じます。
アムルの一人称語りで物語は進んでいくのですが、不死という性質を持つアムルの語りの時間の捉え方や2人の別れの素っ気なさは確かにかくあるだろうなぁという鋭い説得力があって、その洞察を物語の構成同様にものすごい理知的に感じました。
エンディングもものすごいいいんです。
壮大でいて祝福されている、とっても美しくていい物語でした。