現実味のない現実の現実味。

クラスメイトが人を殺した現場に遭遇してしまった女子高生の物語。
人が殺されるというのは、私たちにとってなかなかに大事(おおごと)なはずです。
だけど主人公の梨里亜は大きく動揺することもなく日々を過ごします。

殺人があっても日常。
そんな光景が描かれていきます。
かと言って、なんの動揺もなく物語が続くわけでもありません。
物語は少しずつ進んでいきます。
しかし揺れ動いたとしてもやはり日常なのだという気配をどこか伴っています。

大変なことが起こりながらも描かれる日常の光景は、現実味のないようでいてひたすらに現実らしさを含んでいるのです。
非常に読みごたえのある作品です。