偽であってもやはり教授であらせられる

偽であってもやはり教授であらせられるようで、その高度な知識はいわずもがな、あまつさえこうも巧妙な文体を堂々と執筆なさるその力量に感服いたしました。

とまあ、私もそれっぽい文体でレビューしようと思っていたのですが、いかんせん学が無いので早々に諦めます。──────すごかったです。陳腐な言葉になりますが、おもしろかったです。

同じ神さまを崇めているのに、ただ価値観の違いでこうもすれ違ってしまうとは、居た堪れない気持ちになりました。

ただ、主要人物の看守の男、再洗礼派の男、両者も「結果」として同様に「救い」を求めていることに何となく光が見えたように私は思います。

あと余談ですが、本作の構成で、第三の登場人物である懺悔を聞く神父の扱いがこれまた絶妙でした。この神父は登場人物でありながら、実は我々読者でもある。

読者が登場人物に感情移入することはままありますが、読者を登場人物に充てるなんて面白い構成だとおもいました。真似したくなるじゃないですか。