概要
戦士タルス異伝
草昧の世、星はまだ若く、人は弱かった。
その時代その世界では、人間は自らの種を〈ゾブオン〉と呼び習わしていた。〈ゾブオン〉はその恐るべき繁殖力でもって、北の大陸の隅々にまで蔓延ってはいたが、未だ覇者の冠を戴いているわけではなかった。と言うのも、世界にはあまたの種が同居しており、それらには〈ゾブオン〉よりも遥かに古く賢い〈ルルド〉や、同じくらい残虐でしかも遥かに力の抜きんでた〈モーアキン〉や、偏屈で独特の技術を持つ〈ジルブルック〉などが含まれていたからだ。彼らからすれば〈ゾブオン〉など、未開で野蛮な新参者にすぎなかった。
*
北大陸よりも早く異種族が消えた南大陸で、戦士タルスの足跡を示すものは残されていない。確認できるタルスの冒険行は、凡て北大陸での出来事である。しかしそれをもってタルスがかの
その時代その世界では、人間は自らの種を〈ゾブオン〉と呼び習わしていた。〈ゾブオン〉はその恐るべき繁殖力でもって、北の大陸の隅々にまで蔓延ってはいたが、未だ覇者の冠を戴いているわけではなかった。と言うのも、世界にはあまたの種が同居しており、それらには〈ゾブオン〉よりも遥かに古く賢い〈ルルド〉や、同じくらい残虐でしかも遥かに力の抜きんでた〈モーアキン〉や、偏屈で独特の技術を持つ〈ジルブルック〉などが含まれていたからだ。彼らからすれば〈ゾブオン〉など、未開で野蛮な新参者にすぎなかった。
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北大陸よりも早く異種族が消えた南大陸で、戦士タルスの足跡を示すものは残されていない。確認できるタルスの冒険行は、凡て北大陸での出来事である。しかしそれをもってタルスがかの
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