第一話・はじめまして神社でワクワクコンコン♪②〔了〕

 瑠璃子が、邪魔スルナヤと誰が戦うのか見ていると、悪落ちしていない主人公の『狐尾ゆるり』が出てきた。

(えっ? えっ? 同じ人物が二人いる?)

 さらに、狐尾ゆるりの近くには、数名の女性の姿が?

 腰に変身ベルトを巻いた、狐尾ゆるりが言った。

「いくよ! みんな!」

 そして、お馴染みの透過光を使った変身シーン。


「閃光登場コンコンコン! 閃光王女狐狸姫!」


「燃える炎は【地獄の単車】火焔王女・火車姫!」


「イヤなコトは水に流して麗しの……水竜王女・みずち姫」


「ビリビリ痺れる希望のロック! 雷獣王女・鳴神姫!」


 目が横楕円白目になった、瑠璃子が力なく心の中でツッコミを入れる。

(第一話で急にメンバー増えている? あれ? 敵の怪物なんかパワーアップしていない? 角とかトゲ生えているんですけれど?)


「スーパー邪魔スルナヤァ!」

 狐狸姫たちの方も、コスチュームがパワーアップする。

「閃光王女ウェディングパワーバージョン! 明日は挙式日!」


 閃光王女たちの攻撃は、釘を打ち付けた木製バットや、金属製のナックルを拳に装着して殴る、無反動砲を発射するなど……瑠璃子が一回目に観た、正統派の肉弾戦とは異なった攻撃をしていた。


 さらには、それぞれの閃光王女たちが、属性の攻撃を邪魔スルナヤにする。


「『仏壇ロウソク』『強火・中火・弱火』『お灸』『夏の終わりの線香花火』!」


「『逃げ水』『雨音』『熱湯風呂ぜったいに押すなよ』『カキ氷で頭キーン』!」


「『冬場の静電気』『バッテリー切れ』『電気工事で停電中』『鼻の穴から放電』!」


 そして怪物が弱ったところで、全員の合体必殺光線技。

 目つきが悪かった、大福のような邪魔々の子は、愛らしい原始精霊の姿にもどる。


(怪物になった人間は? もしかして、消滅?)

 閃光王女狐狸姫が、悪落ちして地面に倒れている自分に駆け寄り介抱する。

「お姉ちゃん、しっかりして」

「妹よ……やっぱり、お前が正しかった……ガクッ」

(えっ? なんの伏線もなく、急に双子設定?)


 そのまま、エンディングダンスに突入して……次回予告タイトル。

『第二話・狐狸姫死す、閃光王女全滅?』を見た時には瑠璃子の脳内はパニックだった。

(二話で、もうピンチ? なんなのこのアニメ?)


 観終わって真緒が、放心して真っ白な瑠璃子に訊ねる。

「瑠璃子さん、どうだった?」

「どうもこうも、カオス過ぎて……前に観させてもらった第一話と、違っていません?」

「やっぱり、その箇所に気づいた……閃光王女狐狸姫は、一話の製作期間が一年以上なんだ。第一話はアニメ監督やスタッフも心血注いで、三年は製作しているよ」

「一話に三年?」


「パイ生地のように、幾層にも重ねてあって。時間の経過とか特定の条件で重なって隠れていた部分が現れて、まったく新しい第一話になるんだ……さすがに第二話は監督が代わって、随所に作画崩壊したシーンとか。台本やシナリオを映して進行するシーンが含まれた【神回】になっている回も、ちらほらあるよ……ボクなんか百回以上、同じ回を観ちゃった」


 瑠璃子は内心。

(このアニメの製作スタッフ……アポか)

 そう呟いた。



第一話・はじめまして神社でワクワクコンコン♪

〔了〕

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マオマオくん裏地球に回される2~今日もやっぱり平和です、ヴィランもヒーローガールも仲良く遊んでいます~ 楠本恵士 @67853-_-

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