第6話 過去と現在

エミリーは速足でカインとの待ち合わせ場所に向かう


「おお!来た来た!!改めまして、入学おめでとう!」


ニッコリとカインが食堂の前で待っていてくれた


「ありがとうございます!!お待たせしてすいません、カインさん!!」


速足だった為かエミリーは少し肩で息をする


「そんな急がずとも良かったのに、それじゃあ早速だけど奥のテーブルで待たせているんだ一緒に行こう!」


二人でテーブルに向かうとそこには少し寝癖がついている黒い髪の毛の青年が飲み物を片手にあくびをして座っていた


エミリーはあの時とは背丈なども違うがこの人だと一目で感じた


「エミリー・スラウです!

あ、あの昔、選抜大会でクロエさんのことを見ました!そ、それでクロエさんに憧れてこの学園に入ったんです!!」


顔を赤らめ、少し声も大きくなりながらエミリーは挨拶した


テーブルの青年は少しギョッとした後、カインの方を睨み付けそしてエミリーの方を見て


「....えー...っと、スラウさん?入学おめでとう、付与術士志望ってことかな?あんまりオススメはしないけど...頑張れよ..」

少し寂しそうにぎこちない笑いを浮かべてクロエは言った



「私は付与術士を目指します!クロエさん達の試合をみてまるで物語に出てくる魔法使いみたいだなって...憧れてしまったんです!!神風コンビ!本当に格好良かったです!」

とエミリーは笑顔でウキウキしながら話す


その言葉を聞いた瞬間、一瞬クロエの顔は少し悲しそうな表情をした後

「お前は....いや、その話はやめてくれ、神の子とか神風コンビとか下らない、俺は....ブラッドの血筋の呪われた人殺しだ...」


そう言うとガタンとテーブル立ち

「ごめんな、ちょっと飯は良いや、二人で食べてくれ....」


クロエはそそくさと、どこかへ消えていってしまった



エミリーはキョトンとした後、席についたカインに

「私は早速、嫌われてしまったんでしょうか...」

と涙目で話す


「ごめん、今のクロエは君が見てた時と少し状況が違って、説明もせずに会わせてしまって本当にごめん」 と本気で謝るカイン


そして、こう続ける


「あの時、選抜戦のチームには実は私も入っていたんだ、そしてクロエと肩を並べていたエース...風神と呼ばれていた女の子、リディアはもういない」

カインはとても悲しそうにしながら話した


エミリーは驚き

「えぇ!あのチームにカインさんいたんですか!!?気づかず申し訳ありません!!...風神さんは違う学園とかに行っちゃったんですか?」と質問した


カインはただひとこと

「死んでしまった」と言葉を発した


そして続けて

「こんな話を君にするのは可笑しいとはわかっているんだが、君が...リディアと同じことを言う君なら...君にならクロエを立ち直らせることが出来るかも知れないと勝手に望んでしまった...すまなかった...」


深々と頭を下げるカインをみて


「頭を上げて下さい!!驚きはしましたが全然大丈夫です!!私も勝手に憧れていただけでしたし、それに何があったのかなども分かりませんが今でも憧れていることに何も変わりはありませんから!!」



カインはその言葉を聞いて一礼して話をする

「あいつは自分を諦めちまってるんだ...クロエにとってリディアはなによりも大切なパートナーだったんだ、あいつはあれからクロエがリディアを殺したなどと周りの奴から言われても何も言い返さない、そんな...そんなことあるはずないのに!!」


少し怒りで手が震えているのがわかる


エミリーは少し考え、真剣な顔で話す

「正直、なにも分かりませんが話を聞いてしまった以上部外者にはなれません!それにまだ、憧れのクロエさんとはしっかり話せていませんから!!」


そう言うとエミリーは席を後にした

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ただ誇らしき付与術士--second,magic-- ユキ @kazamaru

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