第2話・理由
荷馬車に乗って中心街フロスを目指してる途中
「お嬢ちゃん、スゴいねぇ....この時期にカレド街からフロスに向かうってことは大層な加護を持ってるのかい?」
と、荷馬車の手綱を握る男から話しかけられる
「あ、はい!!一度は試験に落ちたんですけどなぜか特別に面談試験?って言うのを受けさせてもらえることになって念願のホロレイド学園に合格できました....なんで合格になったかは分からないですけど、ラッキー....なんて....エヘヘェ....」
嬉しそうなエミリーを見て男はこう続けた
「加護も持ってない俺が言うのも何だけど、ホロレイドで大丈夫かい?....ほら、ここ最近はあまりいい噂聞かないし......学園選抜大会でもここ2年間は、他のログナイト学園とマーム・ロード学園に大差でやられてるらしいし.....ホロレイド入学を辞退して他の学園になんて話も最近はよく聞くんだ....」
「良いんです!!!!!!」
話を遮るかのようにエミリーは言った
荷馬車の男はキョトンとなり
それを見たエミリーはハッとなって...
「すいません!!!!でもホロレイドが良いんです....」
それを聞き荷馬車の男はすまん...すまんと詫びながら
「好きな奴でもいるのかい?....なんて...仲のいい奴とか?」
と続けた
エミリーは頬を染めながら
「好きとか....そんなのじゃなくて....仲のいい知り合いも1人いますし....あと....もう1人...憧れって言うか.....笑うから絶対言わないです!!!」
ホホゥと男
「笑わないから言ってみな!!!!」
「ホントに笑わないですか.....?」
「笑わないッ!!!」
じゃあ...と
「2、3年くらい前、母とみた学園対抗選抜大会のことです....」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2、3年くらい前
エミリーは加護を持っている者全員が招待される選抜大会の観覧席に来ていた
「お母さん!!.....つまんない!!!」
それを聞きサラは
「コラッ!あんたが見たいかもって言ったんじゃない!!」
「だって、みんななんか怖い顔で戦ってるし....私こんなのは見たくないよぉ....」
サラはため息をつき
「あのねぇ....エミリーがどう思ってもこの子達は将来、バグや悪い人達からみんなを守るためにこうやって日々精進してるんじゃない!!!それは凄いことなんだから....人々の平穏を守るなんて...」
そして続けて
「エミリー.....ムリにやれとは私は絶対言わないわ..ただ....お父さんもあなたが産まれてすぐに人々を守ってバグに殺された....でも...私は誇らしく想ってるの.....ただ...それだけ..」
やけに真剣なサラの目を見てエミリーは目を反らし...少し遠くを見ながら考えた.....
(そうだよ...おとぎ話の魔法使いみたいな魔法が使えたらきっとバグなんて簡単にやっつけれるのに.....それでお母さんと平和にずっっと暮らせるのに... )
すると急にアナウンスが流れる...
《さぁ!!ここで今年の期待の新入生5人組登場!!!1年生ながら見事本選の切符を掴んだホロレイド学園の1年生集団..........!!!!!!!!!!チーム神風の登ーー場ーーー!!!!!たった今....試合...開始ーーー!!!!》
「凄いわね....1年生で選抜大会なんて出れるものなのね...」
とサラは驚きながら試合を見ている
そしてヒョコっとエミリーも覗きこみ....声を失った
【神の子】と呼ばれる1年生の付与術士の男の子と【風神】と呼ばれる1年生の女の子を中心に試合を圧勝で制する様が...この大会で一番自分に年齢が近いその人達は誰よりも堂々と....そして特別な輝きを放って戦っているように見えた...
そう...それはまるで.....
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「魔法使いみたいだなぁって!!」
と自信満々にエミリーは熱弁した
それを聞いた荷馬車の男は
「そ.....そ....そう..か.い.....プフ魔法使いみたい.....プフフ...だったか...」
その後すぐに
「ギャハハハハハハハッッ」
エミリーはムスッとして
「笑わないって言ったのに.....だから言いたく無かったんだよぉ....いいよぉ.....その人達は今年はまだ学園にいるはずだから会ってお話するんだ....」
それを聞いて再びすまん...すまんと男は続けた
「だが付与術士を魔法使いなんて比喩してたのは本当に昔の話さね...今ではあんなの早死にしたいやつしかやらないーっとかって言われてるよ....嬢ちゃんも悪いことは言わねぇ辞めときな...」
エミリーはフンッと無視してソッポをむいた
それを見た男はやっちまったとばつの悪そうな顔で頭を掻きながら手綱を引いた
---------次回、ホロレイド学園編スタート-----
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます