自殺に見えない自殺の仕方

作者 尾八原ジュージ

84

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★★★ Excellent!!!

 唐突に「自殺に見えない自殺がしたい」という無理難題を吹っかけてくる親友に、不承不承ながらもその手伝いをする高校生の男子のお話。
 とことん爽やかで前向きな青春もののコメディ作品、あるいはほんわかミステリです。いやジャンルは現代ドラマとなっていますけど、でもいわゆる人が死なないミステリの変奏のような。いろんな楽しみ方ができるというか、実はいろいろ詰まってます。すんごい完成度。
 とっても面白かったというか、読んでいて「あれっ面白いじゃん?」ってなりました。いやこの言い方だとまるで面白くないのが前提のようにも見えてしまいますが、そうでなく。読めば絶対そうなるというか、ほんと思わぬところから思わぬ面白さが来るんですよ。
 だって自分が読んでいるのは男子ふたりのちょっとおかしな掛け合いコメディのはずで、それがもうしっかり面白いんだからそれで完成しているはずで、だからこっちはそのつもりできっちり満足しているのに、でもあれっこのお話って〝そう〟でしたっけ? というような。実はミステリだったり実は現代ドラマだったりするところ。単品のハンバーガー頼んだはずがポテトとドリンクも付いていた状態。ぜいたく!
 いやもう、すごいです。出来がいいというか隙がないというか、仮にわざと粗や不満点を探そうとしても、たぶん何にも見つからないんじゃないか、という印象のお話。言葉にすると簡単そうですけど、相当な仕事ですよこれは。
 お話の筋はだいたい最初に述べた通りで、仲のいい高校生男子ふたりの物語です。より詳細には顔はいいけど頭の残念な親友と、それを見つめる主人公のおかしな掛け合い。明るく楽しくコミカルなのはもとより、こいつらのこの関係性の、文章から伝わる手触りがとてもいい。
 本当に仲良いんだなこいつらっていうのが伝わってくるのと、あと本当に顔がいいんだな彼というのと、そしてそんな顔のいい男を思う主人公… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

一般的なミステリーは『殺され方』を物語の中で考えるものですが、『死に方』を考えるというミステリージャンルにおいてある種の斬新な変化を与えられたのがこの作品です。しかし、この構築上の変化だけに甘んずることなく、登場人物のキャラクター性に磨きをかけているのが最大の魅力ではないでしょうか。ミステリーの謎の部分とその解決において、キャラクター性がそれらに対する十分な説明になっているからです。読者側も人物の行為に対して納得ができますし、何より小説としての深みが出るように思います。そのため、この作品の読後感が「いいミステリーだった」ではなく「いい小説だった」というものになったのだと感じました。いい小説でした。

★★★ Excellent!!!

「誰にも迷惑をかけず、自殺であることが分からないように死にたい」という友人。方法を考えてみるがなかなか見つからない……読み手の頭に満ちるはてなマーク。そして、最後はテーマ通りの「ハッピーエンド」。そこで明かされる真相。読後感のよいミステリを読んだ気分です。