第6話 ゾンビの真相と対峙

 スマホとWi-Fiなしに、現代人は生きていけないからな。

「私たちは、平気だけど。」

「世の中をこうしたのは俺たちだ。」

「Wi-Fi切れだけは、防がないとな。」

 コード011は、すぐ様、ニューバージョンの節約アプリを送る。

 最初はそれでよかった。

しかし、『白昼ゾンビ』をメディアが流し、先の見えない若者や年寄りがどんどん非業の死を遂げていった、ゾンビとして生きてはいるが。謎の組織も、ワイドショーになる前に、警察とも死体の奪い合いを起こしている。

「みんな、どうかしてる。」

「死体の良し悪しより、ゾンビ化でギガを食われるのが一番痛い。しかし、今のWi-Fiの状況

じゃ、パワーアップも見込めない分、平和なのかもしれない。」

 女子高生は、「なんでアンテナ立たないかなー、ここシブヤだぞ!」

苦肉の策として、NeWSでも、Wi-Fiをばらまかざるを得なくなった。

「国に助成金を申請しては?」

「ダメだ。ゾンビなんて言っても信用しないだろ。チップは?死体は?」

「全部汚職だ!」

 局長は、しばらく、対策室に引きこもった。

 ――スマホが見れなきゃNeWSの存続が危うい。しかし、なぜ急に、ゾンビが増えたのだ。

 局長は、科捜研に向かう。

「大変なようね。Wi‐Fiの顧客からも、あんたらの直属の上部機関からも、双方から、苦情が出て。でも、これはかなり危険な状態よ。今、Wi-Fiを大きくしたら、潜在的なゾンビが力を持つわ。それこそ、白昼ゾンビよ。」

「どういうことだね。ゾンビらしい持ち込みは10体しかなかったはずだ。」

「最近、弱い人間がゾンビ化してるのは知っているわよね。」

「そりゃ、はなCに載ってるんだから、事実もあろうな。」

「これを見て。」

 と、一体の死体を見せる。

「これは。」

「そう、何かに抉られた後。」

「そして、」と、科捜研の女医は、首の後ろをスーッと裂く。開いてみると、脳漿にカナブンがしがみついていた。これよ、現実は。「カナブンの羽に、Wi-Fiに反応する特殊素材で作った回路が仕組まれ、それで、操られていたのよ。」

「カナブンが、ばらまかれたってことか?」

「そのようね。まあ、若者なんかは、払っちゃうんだろうけど。そうじゃない人が犠牲になっていたのよ。」

「う~む、最近の傾向から、てっきり日光が原因の大量殺戮兵器だと思っていたが……。」

「まさか、あなたたちのNeWSを直接対象に変えてきたようね。いや、はなからそれが狙いだったのかも。」

「カナブンなら、殺虫剤の出番か。それとも、自爆回路に料理してやろうか。」

「しがみついたら、離さないからね、昆虫は。」

「ローラー作戦しかないか。カナブンを絶滅だ。指揮は、私どもNeWSに全権を。」

「まあ、対象があなたたちなら、こっちも、バックアップだけにしておくわ。」

 そうして、NeWSでは、日夜作戦会議が開かれた。

「まず、若者をシブヤから出しましょう。」

「ということは、1回きりの大作戦か。」

「まずは、シブヤ一帯を虫の駆除と銘打って、ドローン作戦を行います。それから、自爆プログラムを流す間だけ、一時Wi-Fiをマックスでつなぎます。一帯に同じプログラムが流れることでしょう。あとは、自然の収まりをまって、複数のプログラムを展開していきます。」

「カナブンコードについては、あまり期待できません。相互補完プログラムの可能性があれば、プログラムでの攻撃は無意味です。」

「じゃあ、Wi-Fiを落とすだけか。シンプルかつ効率的ね。」

「殺虫剤は、大丈夫?」

「これも、見逃す恐れがあるな。」


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