第4話 チップゾンビ?

「チップ、ゾンビねぇ。」

 コード46は不可思議そうな顔をして言う。

「Wi-Fi時代にゾンビって。」

「いや、まさに今だからゾンビなんだ。」

 局長の見解としては、

「日本は、今、異形の類がメディアを跋扈している。そこで、みんなが油断したすきを見て、一気にゾンビ化を図ろうというのではないか?」

「しかし、ゾンビ化するには、死体が必要なんですよ。いくら治安が悪くたって、死体は出ませんよ。」

「と、なると、やはりアレですか。」

「アレか。」

「増殖系チッププログラム!ちょっとPALのところにつないでみよう。」

 局長は、深長な面持ちで、はなCにアクセスする。

「やあ、PAL君。情報提供ありがとう。」

「結局、無駄足だったようですね。」

「いや、おかげで科研の情報を入手できる算段になった。先を越されたら、俺たちはただの情報操作に使われていただろう。ありがとう、謝辞を送るよ。ところで、」

「ああ、チップの中見ですか? あれ、充電池付らしいですね。電波を浴びると、電力で動けるようになるらしいですね。段階式に狂暴化するらしいですけど。」

「そうか、シブヤはアンテナ基地局だからなぁ。いかんなぁ。」

 局長のぬる~い言葉を聞いて、011は、

「アレですね。アプリで、Wi-Fi部分をどうにかするしかないですね。しかも、方法は一つ。端末のデータ消去。アプリなら、今から対策ソフト作りますよ。」

 すると、PALから、

「あっ、チップ出たようですね。プログラム送っときますんで。あと、今日は外に出ないで。充電にゾンビが集まってますよ。」

「まずいな。何体だ?」

「10匹程度ですかね。そこで考えたんすけど、初期化より軽い、ブロックプログラムを使うといいっすよ。ここから先は、別料金ですが。」

「ここは、うちの得意分野の一つでもある。すぐにとりかかろう。」

「じゃあ、俺の出番いっすね。じゃあ、また。」

 はなCが終わると、各自、自分の仕事に入る。

「受信部分をとおせんぼするだけでしょう。余裕っすよねぇ。」

「わたしは、『白昼ゾンビ』と銘打って、ゲーム感覚で、味方を増やすわ。もう、解禁しちゃおう。」

「じゃあ、私は、局長権限で、011君の今できたプログラムをばらまく。」

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