第2話 NeWSにニュースが舞い込んだ!

 昼のシブヤは忙しい。というか、スクランブル交差点が、日本の人口コマーシャルということか、人を集めるのがうまいものだと感心している。しかし、そんな重要都市で怪奇な事件が起きるようだ。虫の噂がする。

「あ、いつもご苦労様です。」

 局長が、いつものように、警察官に挨拶をすると、

「すいません、静かにしてくれませんか。いま、ホシを追ってるところでして。」

「ニュースのネタ出来たな。のってくぞ。」

「「はい。」」

「で、どんな奴で?」

「抗争中の幹部の一人が、シブヤで歩いてるのを見たという情報でしてね。」

「なるほど、なるほど。」

「しっ、交差点を渡たるところで一気に行きますから。」

「別件逮捕ってやつだよ。」

「それは、よかった。コード011、フォローの準備は?」

「気配を消してるのにうるさいな。……でも、もう捕まったらしいぜ。」

 警官は、渡る様子のない幹部の様子を見て、一気に駆け寄ったらしい。

「礼状出てるんで、任意同行できますか。にしても、ひどい恰好ですね。全身、あざだらけですわ。」

 その後ろを、ぶらぶらとNeWSのメンバーが、一目につかぬよう、場所を変える手はずを整えた。

「それ、きっと、情報をはかせるための、例のアレですよ。」

「アレか。お前何の情報握ってるんだ。それより、少しは自分で歩かんか。」

 と、立ちっぱなしの男を肩に背負う警察官をみて、

「都市伝説『スタンディング・アローン』ってのはどうかしら。昨日からずっとそうだったみたいだから。」

「大体、ヤクザの幹部だぞ。」

「だから、噂だけで済んでいいんじゃない。」

 そして、コード011は、気づいたように言った。

「お前、知ってたの? なら、どうして教えないんだよ。」

「私達は、情報屋よ。警察に、たれ込んだのも私だし。」

「それにしてもだよ!」

「置き去りになってるからって? 置き去りだから、動きがあるかもと思って、私は静観していたのよ。NeWSにアップするには、情報不足だし。」

「いつものでっち上げはしないのかよ!」

「ヤバいんだよ、今度のヤマは。」

 コード46は、警官に訊いた。

「何か、おかしい点はありませんか? 気絶でもしてるのかな?」

「いや、意識を失ってる状態だ。やばいかもしれないぞ。呼吸がない。というか、心音もないんだけどな。」

「ビンゴ!面白いわ~、別件の犯人が、他のヤクザにぼこられ死亡。うん、悪くない。」

「それがな、オッチャンとしては、笑えないの。笑い声が聞こえるの、こいつから。そして、俺は腕をつかんでいるわけだが、これは、経験上、もう死んでるのね。脈もないし、今にも腕がもげそうな……」

 交差点の信号が変わると、警官はすぐ覆面パトカーに乗った。

「ヤバス、シブヤにゾンビが現れた件。」


 早速、はなCに書き込むコード46。

「おいおい、それでいいのか?」

「食いついてくる専門家が欲しいのよ。」

「ゾンビなんて、日本は基本火葬だろ。それに、事件性は・・・。」

「ゾンビ。」

「食いつきOKだし。次回来なかったら?」

「都市伝説で済むからいいじゃん。」

「都市伝説、都市伝説って、いったいなんなんだよ。」

「マジで裏取りたいの?」

「そりゃ、俺たちの仕事はNeWSだからなぁ。」

「アクセス増やすにはちょうどいいじゃない。噂が広まれば、もうちょっとくらい増えるっしょ。」

「シブヤにゾンビ?」

「あら、PALからだわ。」

 情報屋のPALは、決して正体を明かさない。ただ、局長権限で、協力を依頼する関係になっている。

「ああ、あの情報屋。」

「渋谷に持ってったのかぁ。やはり、田舎者の巣窟のあのグループかな?」

「何の情報を持ってきたの?」

「虫が入ってんじゃない? 今回の死体。」

「笑う虫か。」

「ちょっと、専門家の意見が必要なようね。」

「ああ~、ホントただの虫だって、ムシの虫。ICだよ。きっと、警察から、そっちに連絡いくよ。ああ、来たみたいだね、じゃあ。」




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