第7話 ゾンビ掃討作戦!
3時間も経ったろうか、情報が限定的なため、議論ができない状態が続く。
そこで堰を切ったのは、局長だった。
「サンダーショックはどうだ?Wi-Fiで動いているヤツラなんだろう。じゃあ、サンダーショックを受け付ける素材でもあるかもしれない。」
「科捜研でもらった、サンプルがありますが。」
局長は、PALに、つないだ。
「この、カナブンは知ってるよな。」
「ああ、回路の話だね。」
「素材については?」
「カナブンは、電気を通すかってことでしょ?素材はエナメルだけど。」
「そうか。」
「へー。秘密兵器があるみたいだね。」
ビーーーッと、切断音が鳴る。
「なんかあるんだ、やっぱり。」
とPALはほくそ笑んだ。
「シブヤも何とか安泰か。」
コード46は、作戦を悟ってか、キーボードをたたきだす。
「シブヤで、カナブンが異常発生AM10:00より2時間、殺虫作業のため、立ち入りを禁止します。」
「Wi-Fi支援願います。ゾンビ掃討作戦作戦、001,002まで展開します。時間は、明日の10時より2時間。ご協力願いますと同時に、戦闘中につき、Wi-Fiを使う機器は、破壊されますと、警告します。以上。」
「シブヤ情報執務室局長です。ただいま、非常事態宣言が勧告されました。連日の白昼ゾンビが、テロリストによって乗っ取られました。かなり狂暴化することが危惧されますので、ネットや掲示板の情報を拡散させてください。」
宣戦布告や!
翌日。
シブヤは、歴史上未だかつてない不穏な空気に包まれていた。マスコミの多くは、電気を使用しない、使い捨てカメラを準備し、ネット会社の令嬢たちは、自社製の最新機のテストのため、仕方なく街をぶらぶらしている。誰がゾンビか、虫はどこにいるのか、誰もが誰も、緊張を忘れ興奮している。
「君たち、NeWSの告知は見たのかね。」
「だから来たに決まってんじゃん。」
「歴史的事件よ。」
「この街を失ったらどうするんだ。」
などと、人ごみの中、NeWSの独自の連絡網で集めた、兵器を使用する。
「まず、民間人と白昼ゾンビの区別をしないとな。」
Wi-Fiが、カットされる。ものの10秒だろうか。人々の中に、倒れこむものが現れた。
「ヤバい、虫はもうシブヤに入ってきている。相手は蓄電式ICをつかっているからな。」
「第2弾、Wi-Fiショック作戦や。ドでかいギガでもくらいやがれ!」
これは、シブヤの蓄電池の許可を撮れる最大限の電力を落とす技だ。カナブンの回路が避雷針代わりになる予定だ。回路を破れば、もう、危害を加えるものはなくなる。
「最終兵器発動!」
最終兵器は、うちの最強プログラム、電波で回路をバグらせる大技だ。
4、50人の被害者が出た。しかし、カナブンの回収はすみやかに行われたようだ。ネット会社の令嬢たちも、独自のアプリでカナブンを探してくれている。
「マジムカツク」
と、見つけたカナブンを指で、裂き、潰す。
「あ、おじさん、首の裏、首の裏!」
おじさんは、少女に両手を持ち上げ襲うポーズをとってみた。
「なんだ、冗談か。」
少女が、無視して立ち去ろうとすると、
ズギュ――――ン
と、銃声がした。コード46のショックガンだ。まあ、アプリなのであるが、実戦ように武器にアプリを埋め込んで使っている。
「気を付けて。何も信じちゃダメよ。」
おじさんは、倒れると、立ち上がった。急いで首根っこをつかみ、カナブンを剥がす46。
「わかった?こいつを始末するまで、油断は禁物。」
「じゃあ、服でも見ていこう。」
「服?」
店でも開いているのかしら、といっても、ゾンビの片付けにみんな忙しいのに。
「これもって。スタンガンよ。これならカナブンを殺せるから。」
「最初から、アプリに入れといてよ。」
<理不尽だが仕方がない。> 心無い言葉に胸を撃ち抜かれてしまった、46。
そして、街灯放送を行う警察車両が来た。
「只今から、シブヤ一帯を虫の駆除地域に指定された場所で、殺虫剤をまきます。人体に影響は出ませんが、なるべく早くのご帰宅をお願いします。」
そう発表があると、消防局やら、自衛隊から、特殊装備の人間が、隙間なく配備され、ムシの駆除が始まった。
コード001は、シブヤの外に出て、すかさず掲示板に打ち込んだ。
「NeWSの指揮のもと、シブヤは解放。渋谷、解放!」
「やったぜ、NeWS。」
「もう、戻れるのか、シブヤに!」
「どうせ、警察がやるんだろ。」
「今までの実況見てなかったのかよ!」
「そうだ、的外れなNeWS批判をしている場合じゃない。様子を見に行かないと。」
「安泰、安泰。」
「山手線送れてま~す。」
「シブヤ線もか。」
「存知の通りで。」
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