第8話 シブヤ解放!!(最終回です)

「ここからの指揮は、警察並びに各署に一任します。」


「巨悪の出現により、犯人の逮捕は、難航が予想されます。警戒レベルが1上がりました。」

「ああ、ムシなんて、どっから飛んでくるかわからないしなぁ。」

「NeWSは、今回の件を、Wi-Fi社会への攻撃と見ています。警告があったのは確かなんです。現に、シブヤのWi-Fi事情は、チップゾンビの確認から、大きな転換を迫られています。材料費が高額なのはわかっていますが、後はみなさんお判りでしょう。」


「敵が現れたら、警戒して、日夜観察し戦うまで。


我々NeWSは、あくまでもWi-Fi都市として、白昼ゾンビが闊歩しているかもしれないシブヤで、皆さんと、楽しくたたかいつづけていく予定であります。」

 そうして、定時の12時を待って、シブヤは解放された。

「虫の数は、PAL君から入手してるだろうし、俺たちは俺たちの仕事をしなくちゃな。NeWSは、今や、やっと、シブヤと一体化できた。気を抜くと、ゾンビが出るからな。」

「他の虫について、ちょっと、情報集めてきます。」

 コード011は、Wi-Fi片手に、街中を歩き出した。既存のWi-Fiに対する一定のワクチンを作り終えたらしい。


 そんな中、局長とコード46は、こんな会話をしていた。

「白昼にゾンビが出たら、どう思います?」

「ゾンビ来た―――っ!って感じかな。」

「まあ、虫とWi-Fiってどういう関係なの?普通に、ゾンビ作ってりゃよかったんじゃないの?」

「どっちも空をとんっでいるからなぁ。そんなもんだろ。」

「うちらの給料、どうなるんでしょう?」

「やりたくないが、あおったのは君だ。君の仕事に向いてる。ゲーム用のアプリでも売って、稼いでくださいよ。」

「ゾンビ用Wi-Fiでも作りますか。局長、011君呼んできてもらえます?」

「アプリで調べて行くなり、あるだろ。」

「局長、じゃあ、少し籠りますか。」

「そうだ、Wi-Fiをレーザーにしちゃおう。」

「どんだけ、ザックリな話なんですか。嫌でしょう、作るの。」

「011くん、呼んできてもらえます?」

「ああ。」

シブヤ某所。

 局長は、久しぶりにシブヤの街に出て、歩きまわっていた。

「う~ん、ショップごとや、飲食店ごとに小さなWi-Fiを置いて回るか。」

 と、そこに、カナブンが飛んできた。Yシャツの袖についた虫を見ると、何やら回路が仕込まれてある。それをつかみ、はずそうとするが、

「案外、力が強いな昆虫は。蛾の鱗粉なんかでゾンビパウダーを・・・」

 イカンイカン。くだらないことばかり考えるようになってしまった。

 そして、011を見つけた。

「お~い!」

 と、局長が手を振ると、

「あっ、局長!Wi-Fiの設定どうなっているんですか?」

「え~とね、少し入りやすくして4。」

「これが4ですね。」

 それだけ確認すると、011は、ゾンビとの格闘を続けた。

「このゾンビのバトルデータを取っているんですが、局長もどうです?アプリでも試してみては?」

「もういいの。」

と、局長は、スマホから空にむかってアプリを展開した。

「即席の安全地帯みたいのは、配らなきゃダメかな?隠しておきたいんですけど。」

「それをやるのがNeWSでしょう。」

「え?」

「コンテンツが一番に決まってるでしょう。」

「46と君はそういう仲か。」

「当たり前じゃないすか。争いがなくなればよいというのは、スマホ世代ではだれでも考えますよ。だから、守るために噂を流していたのに。」

「君たちは、情報操作のスペシャリストなのか?」

「四の五の言わずに局長も書き込んで。そうでもしないと、ウチみたいな小さな会社はつぶれてしまいますから。」

「そうか、じゃあ、今回の件、報道はナシのトップシークレットにするように頼んでおいたから。うちらだけの情報網で一稼ぎしましょうよ。現実は、警察に任せた方がいい。俺たちは、ちょっと変わった暮らしをしてみたいんだからさ。ゾンビに何ができるって。」

 局長はもう、次の作戦には対策が終わっていたようだ。



                              〈 完 〉

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渋谷にゾンビ! 稲兎谷ぴょん @usapyon

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