なにこれこわい。
小学生なら、ここまでではなくても似たようなことする子、しなくても考える子とかいそう、クラスにもいたかも、いや、私もちょっとはそういう部分あったかもという恐ろしい共感。
表面上は普通の日常の下に潜む狂気に、
あれ?私も昔、似たような話きいたような、いやあったような気がする、
と思わされる恐怖。
丁寧なのに粘着質な語り口に、いつの間にか絡め取られていきました。
登場人物達の気色悪さが、起きる出来事が、
でもこれってある程度はある程度は誰でも持っていて、それが表面化したり肥大かしたりすることも、ほんのちょっとのズレで誰にでも起こりうることなのかもと思わせられ。
日常と人間に潜みうる恐怖を感じさせられました。
しかも登場人物達が、自分は大して悪くないと思っているとこかまた怖い。
もう一回言わせて下さい。
え、やだ、なにこれこわい。
初めて読んだときに面白すぎて文字数が8000近いことに気がつきませんでした。
一人称口語(敬語)で始まり、そのままテンポよくしかし情念を孕みながらつらつらと進む主人公の話の内容は、正直理解に苦しむの一点張りで一言で申し上げるならクズなのですが、何故か必死になにかに向かって丁寧に話し続けていきます。
そしてラストになれば誰に話していたのか、タイトルの意味がなんだったのかということがようやく明かされます。
これが最高に気持ちが良くて本当に面白い!構成にもまったく申し分がないです、物語の起伏をうまく操っています。
正直登場人物のすべて共感できないというおそろしいキャラ作りになっているのですが、これがこの作者さんの元々の手腕であり、まったく共感できずなにか嫌な気持ちにさせてくる主人公とその他面々、好きになれないけれど絶対にどこかでみたことがある好きになれない人間そのものであるのが、個人的には最も素晴らしい点かなと思いました。
もっと読まれて欲しいです、本当に面白かった。ありがとうございました。