異世界で生きるということ。圧倒的な描写。

チートやご都合主義はほぼ無し。そんなもんは不要とばかりに圧倒的な描写とストーリーで心を掴んでくる。

この異世界は過酷だ。死が身近にあって、みんな生きることに必死で、簡単に命が失われていく。
モンスターとの闘い。人間との闘い。
そんな世界に放り込まれた主人公は生き残る為に考えて、考えて、強くなっていく。
異世界の価値観に適応しながら、それでも染まり切らない主人公の心の強さ。
不要な甘さを少しずつ削ぎ落として、それでも葛藤を抱えて、折り合いをつけながら進んでいく。
この物語は、単なるサバイバルではない。異世界で主人公が、主人公らしく生きていく物語のように思う。
苦しくて、傷ついて、人の温もりに飢えて、裏切られて、学んで、警戒して、生き残るために人を殺めて、それでも、人を信じることをやめない。

生き残ることを優先的に考えているが、時折、それ以上に譲れないものが垣間見える。
その部分がこの主人公の根っこなんじゃないかなぁ、そんなふうに思える。

極限の状態でも、葛藤を抱えながら、悩みながら生きていく。
人として生きることをやめない。

この主人公はカッコいいのだ。

主人公の葛藤の描写があるたびに心が痛むが、決して重すぎることはなく、読み進めるごとに深みを増していく。
迫り来るような戦闘描写には、思わず手に汗握って応援してしまう。
魅力あるキャラクター達が、物語の中で確かに息づいている。

数ある異世界転生ものの中でも屈指の名作。

この小説はもっと皆んなに読まれるべき。そう思ってこのレビューを書きました。
いつも更新楽しみにしています。

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