幼いころに両親を事故で亡くし、絶望の中で死のうとしていた蛙屋啓太は偶然居合わせた双子の姉妹に助けられる。現在では中学生となり、彼女たちと楽しい日常を過ごす啓太だが、ある日の放課後の屋上で、『黒子』と名乗る少女と出会ったことをきっかけに、その日常はあっさりと崩れ始める……。
本作の最大の特徴として、ヒロインたちがめちゃくちゃ不気味で怖い……! さっきまで普通に話していたのに、ちょっとしたきっかけで態度を豹変させ、啓太を物理的にも精神的にも追いつめて来る。
しかし啓太もやられっぱなしというわけではない。実は啓太は『削り戻し』という力を持っており、時間を遡って自分の失敗をなかったことにできる!……のだが、過去に戻ってミスを修正したはずなのに、なぜか状況は悪くなる一方……この原因を突き止めるため、双子が隠している秘密や『黒子』の正体について調べるうちに次々と衝撃の事実が浮かび上がるミステリー的構成も非常に面白い。伏線の張り方も巧みで、日常の小さな出来事や何気ないやり取りに意外なヒントが隠されており、驚愕のラストに繋がっていく。怖い女の子が出てくるホラーや特殊設定のミステリーが好きな人は必見の作品だ。
(「覚醒する力……! 超能力特集!」4選/文=柿崎憲)