第3話 深夜ラジオ

今夜はどうにも寝付けない。布団に入ってしばらくのうちは黙って目を瞑っていたが、あれこれ心配事が浮かんで目が冴えてしまっていた。静かすぎるのがダメなのかなとスマホでラジオアプリを起動した。



『──こんばんは〇〇ラジオです。今夜も、皆さんのお休み前にクスッと笑えるお話をお届けします』


『お疲れ様です。最近、私、料理をするようになったんですよ』


『へえ、それは素晴らしいですね。何を作るんですか?』


『最近は、トマトスープを作るのにハマってて。でも、先日、失敗しちゃって……』


『どうしたんですか?ちゃんと作れなかったんですか?』


『いや、そうじゃなくて…レシピに書いてあるとおり、トマトを湯むきしていたんですよ。でも、それって思ったよりも大変だったんですよね』


『なるほど。でも、それでどうなったんですか?』


『結局、スプーンでトマトをかき出すことになっちゃって……結果、スープの中にトマトの皮が入っちゃったんですよ』


『そうなんですね。でも、それでも美味しかったんじゃないですか?』


『うーん、まあ、美味しいとは言えなかったですね』


『そうですか。でも、私はトマトの皮が入ったスープでも美味しくいただけますよ』


『ははは。次は、トマトを湯むきする前に、皮を剥く方法を調べて作ってみようかな』


『それはいいですね。でも、トマトの皮を入れたスープにも、新しい味わいがあるかもしれませんよ』


『はは、そうかもしれませんね。皆さんも、お料理するときは、失敗しても楽しめる心を持って、料理をしてみてくださいね。CMの後は新アルバムをリリースした──』




つまんなすぎるだろ、私はそうぼやいて乱雑に寝返りを打った。


──ふふふ。

ベッドの下から薄笑いが聞こえた。

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3分で読める怖い話 半戸ルネーム @the-handle

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