初心者によるTCG式異世界冒険譚

召喚のステータス等に慣れるまでちょっと頭を使いますが、あっという間に最新話まで読んでしまいました。レビューのタイトル通り ややピーキーなジャンルではありますがオススメです。
サバイバルと聞くと殺伐としたハードな印象を持つものの、主人公が纏う空気がそれを感じさせないユルさを醸し出しており…文面的にはキツイのだが読了してみても、主人公の残念さが際立って面白いです。
かといってバトルは臨場感があり、メリハリがあってとても良いと思います。ただ初心者だけあってクリーチャーのアドバンテージを上手く使いこなせていないところは今後の主人公の成長しだいというところでしょうか。
続編の執筆を期待してます。

本作の個性はなんといってもサバイバルです。手持ちのリソースを活用してどう生き延びるか、というサバイバル要素とTCGの要素が組み合わさった独自の世界観が魅力です。
はっきり言えば最初のところはルールなどで詰め込み加減なので個人的にはいきなり第一章を読み、気になったら序章を読む方がわかりやすいかもしれません。
寝食だけでなく排便といった生きる上で必要なものをカードデッキで呼び出したクリーチャーで補うというアイディアはなかなか他で見ません。
文体も工夫が豊か！　クセはありますが他にない独創性のある一作です。

既存の異世界物と違いカードゲームを取り入れた少し変わった異世界物になっていて面白いです。主人公が初心者でカードゲームを知らない人にもある程度分かりやすくなっていて読み始めるハードルも低いと思います。よくある異世界物に飽きた人は一度目を通してみてもいいかもしれません。
カードゲームをやっていた、やっている人はより小説が楽しめると思います。