元転売屋が赤字続きのリサイクルショップを立て直す!

赤字続きのリサイクルショップ「イエローブック森泉店」。高校3年間、そこでバイトを続けてきた今浜瑞穂はそんなお店の将来に不安を抱いていた。そんな現状を変えるべく社長が新たに雇ったのが速野渚。彼は一部から『強欲な仮面』と呼ばれるせどり――いわゆる転売屋――として有名な男だった!

速野がお店を立て直す様子をバイトである瑞穂の視点から描くお仕事ものの本作品。作者が元ゲームショップ店長ということもあってか、ディテールがとっても細かい! 本やゲームを売り買いする際にどこを重要視するかせどりの観点から解説するのも面白ければ、赤字続きなのにあえて営業時間を減らす大胆な展開など、お店を改革する経営サクセスストーリーとして大変良くできている。

しかし働いているのはあくまでも人間、論理的に正しいやり方であっても、これまでやってきたことを否定していけば当然反感も買うことになる。本作はそこを誤魔化さずに、そこで生まれる他の社員たちとの対立をしっかり人間ドラマとして描いているのも実に良い。

ただ儲かれば良いとするのではなく、読者も働きたくなるような職場が出来ていく過程が心地いい、とっても素敵なお仕事小説だ。


(「頑張る経営者!」4選/文=柿崎 憲)

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