概要
ごきげんよう、早矢佳さん。朝から会えるなんて良い日だね。
登校してくるだけで方々から黄色い悲鳴の上がる女、三条董子。私は彼女の恋人ということになっている。
【テーマ】擬態
【ジャンル】ほのぼの百合
〈第二回こむら川小説賞 参加作品〉
【テーマ】擬態
【ジャンル】ほのぼの百合
〈第二回こむら川小説賞 参加作品〉
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!結びのこのしてやられた感
絵に描いたようなお嬢様学校に編入してきた主人公と、そこで高嶺の花やってる『菫の君』とが偽装恋人として過ごす日常のお話。
百合です。それも教科書に載っていそうな清く正しく甘い正統派百合。約3,000文字という非常にコンパクトな分量の中で、きっちり人物と環境とその文化と空気感とそれぞれの間に漂う微妙な機微のようなものを過不足なく書いて、その上で最後のとどめの一行をビシッと〝書かずに〟締めるという、技巧だけで精巧に組み上げられた飴細工のような作品でした。原材料が完全に砂糖のみなのにどうしてこんなに味わいに奥深さがあるの、みたいな。
なにがすごいってやっぱり最後の一撃(しかも致死性の空砲)なん…続きを読む - ★★★ Excellent!!!カウンターが気持ちいい
まさにタイトル通りのお話だった。
クラシカルなお嬢様学校の百合という、非常にオーソドックスなセッティングで、これまたオーソドックスな題材である偽装恋愛からの~というモチーフを、高い完成度でまとめきっていて、一気に読み下すことが出来た。
シンプルな掛け合いの中に、思わせぶりなことを言われるたびに試されているのではないかと勘ぐってしまう早矢香のたどたどしくお互いのリーチを探るような腰の引けたジャブと、天然でまさに思わせぶりな菫子様の伸び伸びとしたパンチが行き交う中で、「私は菫子さんの顔、好きよ。綺麗だもの」のカウンターが決まったシーンがとても気持ちよい。
ごちそうさまでした。