ノイズが多い。しかし、未知数な魅力もある。

 作者様本人が辛口で。ということだったので、辛口の意見をば。

 まず第一にノイズが多いわりに、必要な情報が少ない。
 僕自身が読者を困らせるのが好きなので、情報をあえて少なく作品をかく手癖がある。しかし、この作品はそういった意図とは別に、作者が伝えたいだろう情報を妨げるノイズと、それによる必要な情報の圧迫が発生しているため、二重で情報が伝わりづらい。

 特に読みづらいと感じたのは三点リーダーの多さだ。
 基本的な小説作法は踏襲しているものの、その先、もう少し踏み込んだ表現の仕方というのができていないと感じた。
 他の方のレビューで述べたことがあるが。人は意味もなく黙ったり、言葉の後ろに余韻を残したりはしない。
 三点リーダーを使うことが悪。というわけではなく、黙ったり余韻を残したりする表現を使用する際。三点リーダーで済ませるのではなく、なぜそいつが黙ったのか、なぜそいつは余韻を残したのかを、地の文で描写するのと併用していくことで、見栄えが良くなるという話だ。
 地の文で描写すれば、三点リーダーはいらない。

 他の方のレビューに「この作品は俺TUEEEではない」という旨のものがあったが、断言しよう、この作品は俺TUEEEだ。
 俺TUEEEを避けようとする作者の意図を暗に感じるが、正直言って回避しきれていない。どころか、変に回避しようとしているせいで違和感が生じている。
 僕は俺TUEEEに関して頑なに否定的なわけではない。そこに努力があるのなら、むしろ戦闘描写として面白いとさえ思う。
 変に回避しようとせず、この作品の焦点でもある「生徒との努力」を見失わないようにしていけば、俺TUEEEを無理に回避しなくとも、確実に良いものになる。むしろ、この作品との相性はいいのではないだろうか。

 作者様の要望通り辛口で書かせてもらった。
 しかし、この作品は面白くなる要素を孕んでいる。
 かの有名な『転生したらスライムだった件』も、終盤はいくつもの国と大量のキャラクターを高度な文章力で動かす戦記モノと化していたが、web連載版の序盤は非常に拙い文章で書かれている。
 つまりあの小説の作者は何年もの間同じ小説を書き続けることで、文章力や発想力、伏線の貼り方を学んだのだ。
 是非、コウセン氏にも諦めずに書き続けて欲しい。
 僕は今後この作品がどのように発展していくかとても気になった。少なくとも、異世界嫌いの僕にそう思わせられるだけの魅力はある。
 頑張ってください。
 執筆お疲れ様です。