感情に殺される前に、感情を殺すべきか?

もしも感情を制御できる装置が存在したら。
物語はそこから始まる。

人間は誰しも生きていれば、自分の感情は誰かの影響を受けざるを得ない。
身勝手なSNSの炎上案件に怒り、プロパガンダのニュースで遠い地の被害者に涙し、面白可笑しいエンターテイメントに笑えば幸せを感じられる。
自分一人で生み出せない量の喜怒哀楽に、僕たちの人生は左右されている。
それが分析され、他者によって意図的な操作が可能であれば、果たして自分はどこまで自分だと言えるのだろう。

もしも感情を亡くすことができれば。
物語はそこで終わる。

哲学的難題、しかし明瞭。
洗練された語り、しかし奥深い。

考えても仕方ないことで延々と悩みたい同士たちよ、読み応え抜群の一作です!!

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