ドロドロと言うにはあまりにも

 圧倒的文章力。比喩表現が、情景描写が、まるで電撃のように僕を穿つのを、読み進めていく度に感じた。
 本当に高校生なのか?疑いながら読んだ。もちろんそれは、高校生にしては艶めかしすぎる官能的な表現故にという点はある。しかし、それだけでは無い。先述の通りの圧倒的文章力。ほとんどそれ一点のみの衝撃だった。
 登場人物は伝聞を除けば二人。二人だけの世界に浸っているはずなのに、その世界には呆れるほどにノイズが多い。私の好きな彼、私の好きな彼女。互いが互い以外の人間を想って、互いへ虚像を投影する。そんな姿はドロドロと言うにはあまりにも清すぎた。

 執筆お疲れ様でした。