second time or third time for them
「そうだったね、思い出したよ」
美冬は苦笑いをして俺を見た。
「思い出した……のか。花火を見た日も、遊園地に行ったあの日も、全部か?」
「うん、全部思い出したよ。ごめんね、ずっと……そばにいるって……言ったのに……」
「いいんだ。思い出せたんだから……これからずっと」
「ごめん」
美冬は震えた声で確かにそう言った。俺は茫然と彼女の顔を見上げる。
「ごめんね」
美冬はポケットから何かを取り出しながら、俺から離れるように走った。
おい……やめろ、これからもずっとそばにいるって――。
「迷惑ばっかりかけてごめんね。ずっと大好きだよ」
走り始めた俺は美冬に届かなかった。
捉えることさえできない光と爆風が宙を切り裂く。それとほとんど同時に重い音が響いた。
その爆熱は、美冬の足元に積もった雪を一瞬で溶かしたに違いない。
ある病室の一角。
ベッドで仰向けに寝ている女が一人。
その女の手に左手を添える男が一人。
女はゆっくりと目を覚ました。
「美冬、分かるか? 聞こえるか? 俺が見えるか?」
「見えますよ、大丈夫です。ただ……」
「ただ?」
「美冬とはどなたのことを言ってるのですか?」
男は少し目を伏せた後、こう言った。
「俺にとって一番大切な人だよ」
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