第13話

 福山に帰って、満里奈は親友の夏帆に相談した。

「何、悩んでるのよ」

「彼氏に他に好きな子ができたの」

「何、それ最低じゃない」

「きっぱり別れさせたんだけど、私の心が心底喜べないのよ」

「済んだことは仕方ないじゃない」

「そう思おうとしてるんだけど、なぜか落ち込むのよ」

「気にしない気にしない。どこの恋人にもそんな話は有るわよ」

「頭でわかっているのだけれど、心が沈むのよ」

「彼氏と東京ディズニーランドへでも行けばいいじゃないの」

「そうね彼に相談してみるわ」

 満里奈は哲夫に電話を掛けた。

「あのー。相談があるの」

「何」

「ディズニーランドに行きたいの」

「それはいい、ぜひ行きましょう」

 2週間後、二人は新幹線で東京に行った。

「哲夫はディズニーランド初めて」

「初めてです、満里奈は」

「私、3回目」

「じゃあ、ライドやアトラクションは満里奈に任せます」

「哲夫は見たい、乗りたいものは無いの」

「全く知らないから、わかりません、お任せします」

  満里奈はディズニーランドを思いっきり楽しんだ。

 その夜はディズニーランドの横のホテルに泊まった。

 翌日哲夫は奈良に、満里奈は福山に帰った。

 翌週満里奈が奈良に来た。哲夫はトヨタランドクルーザーで迎えに来た。

「今日は三笠山を案内するね、春日奥山ドライブウエイだ」

 若草山の山頂で車を降りた。

「うわあ、見晴らしがいいのね」

「あれが東大寺、その向こうが県庁、赤いレンガの建物が少年刑務所」

「少年刑務所って、少年院とは違うの」

「違うみたい、入ったことないからわからないよ」

「私もはいったことない」

 

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奈良に恋して 尾形昭 @kunio33

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