第12話
高級ホテルらしく広い室内に、コーディネートされた色彩の壁・家具・絨毯、満里奈は目覚めて、一瞬あれっここはどこだっけと考え、すぐに思い出した。
隣のベッドに眠る哲夫を確かめると、すぐにまどろんだ。
次に哲夫に起こされた「朝ご飯食べに行きましょう」
「その前にキスして」
この朝は満里奈は哲夫に甘えた。思いっきり甘えた。
朝食を食べてアヴェニューをそぞろ歩いているとき、
「ねえ、ハンドバッグ買って」
「買ってあげましょう」
「嬉しい、買ってくれたらキスしてあげる」
哲夫は買ってくれた。
哲夫は高級ホテルになぜ高級ブランドショップが軒を並べているのかが分かった。した後で、女の子が男の人に買ってもらうのだ。良くわかった。
満里奈は、ここ2カ月つらかった分を取り返すかのように哲夫に思いっきり甘えた。
哲夫も満里奈の喜ぶ姿を見て満足そうだった。哲夫は満里奈にもっと甘えてほしかった。自分が満里奈を苦しめた分をつぐないたかった。
「さあ、今日はどこ行こうか」
「ミナミへ行こう」
「道頓堀?」
「ええ、哲夫それでいいの」
「いいよ、満里奈の行きたいところだったら、どこだっていいよ」
満里奈は哲夫の心を測っていた、ゆきちゃんを好きになって、満里奈を捨てた哲夫の心を測っていた。恋人に浮気されて始めてわかる事がある。
この浮気は、満里奈の心の奥底に影を落とした。
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