第8話 清濁を併せ飲む その3

 人の世界だと能力があってもレベルアップ、経験値アップはちょびっとしか無い

 儚い境遇だけど、

 異世界転生にはレベルアップは基本中の基本機能でバンバン上がる。


 そもそも人の世で教育やそこいらでレベルアップなんて望めないアレ単なる肩

 書き獲得や自己宣言の世界。

 能力のレベルアップを望めるのはオリンピック選手の様な既に能力に上澄み要

 素の伸び代を持つ特殊な人たちだけ。


 一般的にレベルアップを声高に謳う現実世界のまやかしにうんざりしてた。

 基本、人は持つて生まれた能力をベースに伸び代もなく生き過ぎるだけ。


 人の世界のレベルアップとは、肩書き獲得での裁量範囲拡大、見せ掛けを巧く

 現出しての戦略変更、

 レベルアップする姿勢を醸しての人脈開発。


 ま、実質的な能力のレベルアップは無いに等しい。


 棒で殴る能力がレベルアップして竜巻真空斬りを出せるのかって~の…。

 棒の長さを変え、素材を鉄にし、共にボコ殴る仲間に入り数に物言わせるとか

 が精々。


 ところがこの異世界転生は、棒で殴るが竜巻真空斬りにレベルアップして行く。


 であればね、能力・機能を手に入れる手立ては出来たのでレベルアップの元手

 とそれを作動される

 為のエネルギーが必要だよね。


 エミリアが思惑通りの仕様に解釈してくれるのか!〈ドキドキ〉


「ちょっと待ってて」と、エミリアが中座するま。

 逃げたか〜不安が過ぎる。


 数秒後に戻って来た。

 指に大きな指輪をしている。


「えーと、神だけに、いい顔させないからね!」


 エミリアが詠唱する。

「我は求め訴える我が希望を叶えよ!ソロモンの指輪よ!」


 ソソソソ、ソロモン王の指輪を持ち出して来たのか!!

 ミカエルが蒼くなる。


 1つ。消費する事の呪縛から解き放たれ、無限の糧を得、齎す力を宿らせよ

 2つ。邪悪なる世界の地母神たりて全ての系譜から敬われる者とせよ。

 3つ。不可侵たる境地を得んがために虚無を司らせよ。


 ソロモンの指輪が光輝きビッグバンし、光が収束すると漆黒の闇が指輪を覆う。


 エミリアは肩で呼吸をしている。

 指輪をしていた側の腕はミイラの様に干涸らびていた。


「やれやれ、噂に聞くソロモンの指輪を持ち出してくるとはびっくりじゃ」と恵比寿様はかっかと笑う。


「最後に神州八百万からは

 ひとつ、万難排除の穢れ払いの劔

 ふたつ、常世の憩いの勾玉

 みっつ、時渡の鏡

 を授けようかの」


 これでレンタル移籍の手続きは済じゃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る