【企画提案型 秘密基地で楽しむ】 僕の生き方正解だった!※オタ充の夢を形にしてリア充する一事例
ふぁーぷる
第1話 立つ鳥跡を濁さず。
神宮寺
でも平成生まれ。
ゆとり世代と揶揄されながらもやっとこさ入社出来た会社。
名誉会長、会長、相談役、社長、専務、そして新人平社員の神宮寺
非常にお偉いさんが充実している会社で一安心。
いや、何が!
世界平和、人類皆兄弟であると英才教育を素直に受けて社会に出たエリート。
いや、何が!
根っからの素直でお人好し性格。
他人から頼まれたら断れない。
自分は喰わねど他人が美味しいかを気にする。
自分は汗だくでも他人が心地良いかを気にする。
偽善者…。いや正真正銘の善者!
今日も今日とて社長を社用車で打ち合わせ場所まで送るところ。
渋滞だ…。社長はお疲れのご様子でイビキをかいて寝ている。
もうかれこれ15分は車が先に進んでいない。
打ち合わせ場所の歌舞伎町までまだまだ距離はある。
焦って来た兎沙戯は渋滞の原因を見定めにドアを開けて前方に歩いて行く。
交差点でなんとお婆さんが歩行補助の乳母車が溝に嵌まって動けないでいる。
渋滞待ちのドライバー達は苛々しているが誰も降りて助けようとしない。
信号下には幼稚園児が引率の先生とぼーっと見ている。
15分もお婆さんは溝を抜け出そうと足掻いていたのか。
兎沙戯が見過ごす訳もなく、ダッシュでお婆さんの乳母車を押しに駆け寄る。
「お婆さん、押すから少し離れてね」と声を掛けながら乳母車を押すと不思議な
くらい軽く乳母車は動く。
良かった良かったと、お婆さんを振り返ると…。
日除けのお婆さん帽子の下に覗くその顔は、青い髭ズラに乱暴に塗りたくった
ファンデーションの熊みたいな男顔。
「えええええ」と驚嘆するとすかさずそのお婆さん?は、兎沙戯の手首に手錠を
掛ける。
そして乳母車にも手錠を掛ける。
兎沙戯は乳母車に手錠で繋がれてしまった!
「何ですかこれは〜」とお婆さんに質問する。
するとお婆さんは乳母車を覆っていた風呂敷を〈バサーっ〉と捲る。
「じゃじゃじゃじゃーん爆弾〜!」
デジタルのタイマーが赤くカウントダウンしている。
残り3秒。
猛ダッシュで走り去るお婆さん服装のガタイの良い男。
兎沙戯は視界の先の幼稚園児を見つめる。
躊躇は無かった。
スクランブル交差点の真ん中、園児達に一番遠い誰も居ない場所へと乳母車を
抱えて突っ走る。
〈ボガーン〉と閃光と土埃が舞う。
その光景の先には園児達が一瞬たじろぐもそれぞれゲームやテレビの話題を再開
して何もなかった風に戻る。
無常
そんな中、不思議な事に兎沙戯の姿は忽然と消失していた…。
あら不思議
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