自由のため、誇りのため、立てよ川崎市民!

横浜市を第二の東京とすることを目論む横浜市長は、強引な手を使って川崎市を併呑し、市の勢力拡大を図る。しかし、心ある川崎市民はそれを受け入れなかった! 一定の暴力を容認する新法『闘争隊法』の下、川崎とその周辺域の反横浜勢はゴム弾銃で武装し、果てない闘争の幕を開ける!

登場人物が譲れない理想と心情を振りかざし、フルスイングでぶつけ合う様、実に熱いんです! 80年代の大友克洋さんや押井学さんの作品さながらな学生運動のにおいもするのですが、そこから血生臭さを抜いて妙なる生臭さを演出しているあたりも本当に興味深い!

そして、要所要所に時事を練り込んだ舞台構造と物語設定は緻密のひと言なんですけど、それが逆に騒動を馬鹿馬鹿しく盛り上げてくれていて、作品の醍醐味を「トンデモでーす!!」と全力で知らせてくれているのが小気味いいんですよねぇ。

ボタンひとつ掛け違え続けたらこうなるのでは? と思わずにいられない、細やかで濃やかな抗争劇!


(「戦いか闘いか!?」4選/文=髙橋 剛)