最終話 続く運命
「ケイト」
「何だ?」
俺は地面に下り、ケイトの前に立つ。
そして彼女の頭に手を当て、〈
の力で死神の呪いを消去する。
俺には全てが可能なのだ。
ヨルの持っていた想像する力程度じゃない。
創造も破壊も、あらゆることが可能なんだ。
だから、ケイトの呪いを解くぐらい当然のようにできてしまう。
シフォンは22の運命の力が集いし時、ケイトの呪いは解かれると言っていたようだが……こういうことだったんだな。
「…………」
ケイトは自分の中で何が起こったのか理解したのだろう。
突如、一筋の涙をツーッと流し出した。
「そうか……案外、寂しいものだな。私の人生、ずっと一緒だったからな」
そう言ってケイトは俺の胸に飛び込んできた。
彼女は大きな声で泣き出した。
それは呪いとの別れが寂しかったのか。
または別れが嬉しかったのか。
そのどちらかは分らないが、ケイトは大粒の涙をこぼし続けていた。
◇◇◇◇◇◇◇
シフォンは消えたシーラを探しに旅に出た。
「ヨルが身動きを取れなくなったのは、アレン様の無意識に反応して体がヨルの命令を否定していたのでしょうね」
彼女はヨルとの戦いのことをポツリと呟き、頭を下げてゆっくりとした足取りで消えて行った。
サンデールはクリスリンと共にセントレインに帰り、ツクモは俺の能力で元の世界に帰してやった。
週末は暇だから、その時だけはこっちで王様を続けるらしい。
俺が時空を超えられるように、彼の家の鑑とレステアの城にある鏡と時空を繋げておいてやった。
それで自由に向こうとこの世界を行き来できる。
ステイはチェイスと共にレステアに戻り、ツクモがいない時は二人で代わりの業務をこなしているようで大変忙しい日々を送っているとか。
ナエもツクモと同じく、週末はこっちで生活するようだ。
なんで?
「え、だって……もう少しアレンさんと一緒に……い、いえ、すいません! 私のような道端に落ちているゴミのような存在が調子乗りました! 本当すいませんでしたー!」
相変わらずナエは、騒々しくネガティブで……
カシスはソルトとコーニールを連れてウィンディンに行った。
「あの大陸の管理は俺たちに任せておいてください。今の我らの力があれば、どんな魔族が現れようとも楽に対処できるでしょう」
コーニールは無邪気な顔で俺に接してくるが、ソルトはいつも俺を睨み付けてくる。
もうそろそろ仲良くしようぜ……なんて思ったりするが、今度はいつ会うことになるのやら。
セシルはヘレンとホルトと共に、ここに残るらしい。
エドガーとウィンディは旅に出た。
この広い世界を見て回りたいようだ。
オージはドワーフの国に戻り、また忙しい毎日を送っているらしい。
仲間たちは世界中に散らばってしまったけれど、一度繋がった絆は消えやしない。
俺たちの運命の繋がりは永遠なのだ。
「アレン~」
ターニャがアディンセルの村からロープウェイでやって来る。
アディンセルはヨルに消されたが、俺の能力で元に戻しておいた。
屋敷前の椅子でケイトが眠りについている。
俺は猫の姿でケイトの胸の中で眠っていた。
ターニャを筆頭に、六人の女性の気配を感じる。
ああ……せっかく気持ちよく昼寝していたというのに。
また騒がしい一日の始まりだ。
と言うか、これっていつまで続くんだ?
美女たちに囲まれて嬉しくはあるけど……
もう少し静かな運命でも良かったのになぁ。
なんて片目を開け、彼女たちの姿を見ながら、そんなことを考えたり。
騒がしいけれど穏やかな日々。
こんな毎日がこれからも続くんだろうな。
おわり
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけていたのだら幸いでございます。
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