エピローグ 

「俺を殺せ」


 先生は言った。


 わたしは先生のことが大好きだから、言う通りにした。


 なるべく苦しまないようにしたかったけれど、ハサミで頸動脈を切るくらいしか最善の方法はなかったので、そうした。


 しばらくして警察がやってきて、身柄を拘束された。


 身元調査の末、「原田チサ」は既に死亡していることが判明。


 わたしの所有者であり、件の首謀者である先生も死亡していたため、わたしの身柄は大学に引き渡され、冷たい密室で管理されることになった。


 お腹が空いたと訴えたらご飯は出てくるし、娯楽や教養も申し分なく提供された。


 でも、人と触れ合うことはなく、真っ白な壁の内側で独りぼっちだ。


 ……でもそんなことはどうでもよかった。


 先生を失って、何をしたら良いのかもわからなくなってしまった。


 以前はもっと自由に生きていたような気がするのだけれど。


 やはりこれが恋というものなのだろうか。なんて。


 …………。


 …………。


 …………。


 …………。


 ああ、そうか。


 —―先生がいなくて苦しいなら、先生をつくってしまえば良いんだ。

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機械人形は夢をみる TETSU @tetsu21

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