奈月沙耶先生のファンを自認する私ですが、本作では途中、一年以上も間隔が空いてしまいました。
カクヨムサイトも久しぶりだったし、ひっそり読んでは、『応援する』だけ押していこうと思ったのですが……。
面白い。これは何か書かずにはいられない。
けっきょく南極大冒険🐧
ところどころ、コメント欄を汚してしまいました。申し訳ございませぬ★
この物語をざっくり説明すると、中年になって、突如訪れたモテ期。JkにJDに同世代の女性上司と選り取りグリーン(=緑→見取り)。
けれども主人公は、それを喜ぶのではなく、本気で戸惑っているんですよね。
普通にことちん推しではございましたが、出てくるキャラクターがみんな魅力的。
ストーリーもありきたりではなく、『奈月ラブコメ』とでも呼ぶべき、独特の趣があり、この世界にハマると、どっぷり浸れると思います。
是非とも、多くの方に触れていただきたい作品です。
うだつの上がらない37歳のサラリーマン由基は、ひょんな事から困っていた女子高生、アコを助ける。
しかしそれがきっかけで、幸か不幸かアコに惚れられてしまうのでした。
女子高生とおじさんの恋って、犯罪じゃないの? そんなことくらい、もちろん由基だって分かっています。
だから由基は何度もダメだ、君とは付き合えないって言ってるのに、アコってば全然諦めません。何度も何度も、どんなにあしらわれようがめげずにアタックを続けてくるのです。
歳の差もあるし、由基の言うように付き合わない方が良いんだろうなと頭では分かっているのですが、健気に頑張るアコを見ていると、ついつい応援したくなっちゃうのですよ。
でも付き合ったら犯罪だし、うーん……。
交際を迫る女子高生と、それを断ろうと必死なおじさんだなんて、端から見ればつい笑ってしまいしそうな関係。
笑えるけど、たくさん悩んでたくさん考えてお互いと向き合っていく、禁断のラブストーリーです。
偶然助けた女子高生アコから好意を抱かれるようになった、冴えない中年サラリーマン由基。もちろん、この場合の好意というのは恋愛的な意味。
しかもアコ、タイトルに違わぬ恋愛脳であり、自らの好意を隠すことなくグイグイきます。歳の差なんて関係ありません。
しがない、冴えない、彼女ない。そんな中年男性に降って湧いた、一発逆転の恋愛劇。
……なんてことになったら話は簡単なのですが、実際問題、そうトントン拍子には進まないのですよね。
何しろ相手は女子高生。年齢による埋めようのない感覚のギャップがある上に、迂闊に手を出すわけにはいきません。アコは気にしていませんが、由基にとっては歳の差が関係大ありです。
しかし、それでも変わらずグイグイくるアコ。なんでしょう、この生殺し。
しかも、事態はそれだけでは終わりません。なんとアコだけでなく、勤め先のバイトの大学生からも好意を持たれることに。
とはいえ、やはりこちらも年齢が。大学生ならOKとはなりません。
完全にタイミングを間違ったモテ期。突如やってきた、この幸運ともトラブルとも言える状況で、由基はどんな結末を迎えるのでしょう。
恋愛って面倒……。
世間さまの目を気にして、試してみたけど上手くいかなくて。
仕事が忙しいから。
出会いがないから。
いやいや、職場の子に手は出せないでしょ。
なーんて言っているうちにますます奥手になっていって。
いいんだ。
俺はこれでいいんだ。
世の中の恋愛脳な連中に心から叫んでやれよ。
おひとり様、万歳!!
そんな一人の中年男に挑むのは、頭の中をハートマークに支配されたイマドキガール。
「大好き。結婚して」
「いやいやいや」
「全部あなたの好みに合わせるから」
「もっと自分を大切にしなさい」
「いいから結婚して!」
「ちょ。待っ……」
のらりくらりとスウェーバックを繰り返す中年男に、女子高生のマシンガンブローが襲いかかる!
さらには職場の清楚系女子大生、同僚にして上司の姐御系キャリアウーマンが、あの手この手で中年男を落そうと……。
頑張れヨッシー!
全てのおひとり様の希望を背負って、恋愛脳を打倒せ!!
物語の基本は最近よく見かける女子高生と冴えない中年の恋物語です。
しかもこの女子高生のアコちゃん、『恋愛脳』でぐいぐいと迫ってきます。
が、しかし。
それを甘酸っぱいだけで進めないのがこの作者のすごいところ。
さらに二人のヒロインが登場します。
清楚な感じの女子大生。
同僚であり腐れ縁の人妻。
最初はそれぞれの微妙なすれ違いや、心情を描いてニマニマさせてくれるのです。
が、しかし。
現在は物語も終盤戦(と勝手に想像しているのですが)、互いのベクトルが重なりだしてすごいことになっています。
しかもアコちゃんの恋愛脳が伝染したのか、焦りがそうさせるのか、かなり煮詰まってきています。
もう、この当たりの面白さをレビューで書くのはホントにムリです。
ただただ読んでほしい。
とにかく物語を作るのが上手い作者さんで、この作品も安心して楽しんでいただけると思います。
またお仕事の描写なんかも細かくて、そんなところもすごく楽しめます。
でも今回見事なのはそのストーリー展開。
もう悲鳴を上げたいくらい、よくこんな展開を考えつくなと、怖いような笑いたいような気分です。
ということで、コメディーのようなホラーのような、甘くて苦い作品です。
ぜひ連載を追いかけて楽しんでください!