光合成のプロローグ

あかいかわ文学のベースになっているものは「やさしさ」なのかなとふと思った。
少なくとも、この才気に満ちた小説家は人間を愛してやまない人なのだろうと思う。
桜の花のように儚く彩られた無数のシャレードによって物語は展開する。
しかし、せっかく美しく造形されたその物語を、作者は「さっさと散らす」のだ。
その潔さが堪らない。散り舞う桜のただ中に身を置いているようで、ほんとうに堪らない。
この小説のなかで作者は、とても優れた(わかりやすい数学書のような)文学論をも展開している。
物語の主人公のように皆が「空想の物語」を楽しみつくせば、
いずれ、それが「ミサイルにも毒ガスにも打ち勝つ日がやってくる」
私もそう思う。
あかいかわ様の光合成を、陰ながら、微力ながら、応援させていただくことにします。
もう一つ、
「」(かぎかっこ)って使わなくてもイけるんだ…と気づきました。

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