誰かの密談
真夜中の雑木林。
月明かりがぼんやりと射し込む暗がりの中、小さなひとつの影がそこへ飛び込んできた。
それはどうやら、白い狐の面を被った子供のようだ。
雑木林の中で既に待っていたらしい別の者が、その子供に向かって問う。
こちらがつけているのは黒い狐面だ。
「ミツケタ?ミツケタ?」
妙に甲高い声だった。
「アァ、ミツケタ。」
それはぐにゃりと曲がるような抑揚のある声で、やたらと耳にこびりつく。
「フタリ、イル。」
鬱蒼と繁る木々の下、こそこそと身を屈めて話す2つの影。
「フタリ……?」
黒面が首を傾げた。
「ドンナヤツとドンナヤツ?」
白面がそれに答える。
「チッコイヤツと、ソレヨリデカイヤツ。チッコイヤツハ、アノイエノコ。」
「デカイヤツハ?」
「ミタコトナイケド……アイツ二、ソックリ。トシモ、チョウドオナジクライ。」
それからしばらく黙りこむ白狐面と黒狐面。
先に口を開いたのは白面の方だった。
「……ツレテイク?」
黒面がそれに同意する。
「ツレテイコウ。」
「ケッコウハ」「マツリノヒ。」
それからお互いの意思を確認するように頷き合うと、素早く雑木林を走り去っていく影2つ。
それらの者たちはやがて夜闇に消え、すぐに辺りは静寂に包まれた。
ふたり祭 花染 メイ @6i0to38re
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