砂漠と硝煙と美女。そして機構獣


 砂漠の町にふらりと現れた女は、凄腕の賞金稼ぎだった。
 機構獣の馬にまたがり、腰に吊るすは大口径のオートマチック。彼女は類まれな射撃の腕で、町を襲った巨大な機構獣を仕留めて見せる。その腕を見込まれて、行方知れずになった隊商の捜索を依頼されるのだが……。

 舞台は遥か未来。すでに科学技術は失われ、人々は中世のような暮らしをしている。だが、古の怪物、機械の獣──機構獣は全滅したわけではなく、ときおり人々の生命を脅かしていた。

 と、そんな感じの、古き良きライトノベルを彷彿させるストーリー。
 凄腕の女賞金稼ぎディーンが砂漠を渡って、ぶらりと町にやってきたところから始まるんですが。その導入が古き良き西部劇そのもの。まさにマカロニ・ウェスタンを彷彿させます。

 ジャンルはSFになるんですが、堅苦しい設定はなくて、ただもう、機械の馬に跨った美しいヒロインが、撃って撃って撃ちまくる。
 まわりをとりまくキャラクターたちも魅力的ですし、一人一人に物語が与えられているところもナイスです。

 安定感が高く、飽きることなく楽しめます。頭と心が疲れたそんなあなたにお勧めの一作。