毒竜は聖女に恋想ふ

世界最強と謳われる九竜の一角、『毒竜』の名を持つ『ヒュドラ・カシャフ』。この九竜は世界の安寧を保つため。神からこの世界へと遣わされたいわゆる、『守護者』である。
　しかし、ヒュドラはその名前と、能力によって人や魔族からも『死神』と恐れられ、同じ九竜としか、まともに接点がなかった。
　しかし、ある時、魔族と人が争っているのを見つけ、魔族を追い払うと、ある女性がお礼を言ってきた。
　純白。その一言に尽きるほど美しい彼女は俺の手を握ってくれた。今まで俺に触ってこようとした生物がいなかったのに、彼女は触れてくれた。
　そして、名前を聞かれた際に、何故か嘘の名を教えてしまった。
　彼女が去った後、『また逢いたい』と強く思ったヒュドラは彼女を追いかけた。