かえす
学校へ行くためアパートの駐輪場へ行くと大きなミミズが3匹、うねうねと灼熱のアスファルトの上でもがいていた。
皮膚呼吸をするミミズは環境の良い土地へ移動するが目がほとんど見えないので道を誤り熱いアスファルトの上で死んでしまうと昔、生物の先生が言ってたっけ。
普段はあまり関わりたくないのだが、仏心を出した僕は郵便受けに入っていたチラシを棒状に丸めうねうねとのたうつミミズを近くのツツジの植え込みの土の上へ移動した。
「ミミズが恩返しにきたりして…しかし、今日も暑いなぁ。」
植え込みのそばから立ち上がり入道雲の立ち上がる空を見上げると目の前を影が横切る。
そういえば生物の先生が笑いながら言ってたっけ…たぶん取らないだろうけどカラスのエサを横取りしちゃいけないって。
「仕返し…。」
けたたましく頭の上で鳴くカラスの声を聞きながら僕はただ、膝をつき抉られていない左目でアスファルトに滴る血を見つめるしかなかった。
くる 短編小説集 真田真実 @ms1055
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