ギブスンのデコード

軌道上の貴族。暗黒街のチャイニーズシンジケート。有象無象を両断する指先のサイバネ兵器。フルサイボーグの悦びと苦悩。
各所に仕組まれた模倣子をレセプターが感知した時、我々は脳裏に「ニューロマンサー」の著者、ウィリアム・ギブスンを召喚する。「ブレードランナー」の模倣子(ミーム)を拡張再生産する。
それはもう、分裂の際に細胞核の中で行われる遺伝子転写や複合作業と同じぐらい、至極自然な事なのだろう。

ただ一つ酢酸と我々で違うのは、この復号作業(デコード)にギブスンより後発作家たちの因子や書き手の指紋アルゴリズムを〝勝手に〟見出すことで、筆舌に尽くしがたい喜びを見出している点だ。

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