宇宙という行間に込められた哀愁と未来

ティートルという惑星で起きた話を当事者目線で綴っていく物語。淡々とした筆致でSF的難解な固有語も少なく、描写部分を絞った分だけ情景がありありと迫ってくる。自ずと読者は行間を読み、次の一文、また次の一文へと意識を集中してゆく。その合間になにが起こるかを予想しながら。

終盤、言行録という形で悲劇の一部が明かされる。が、それを知った者たちが、果たしてティートルにどういった感情を抱いていたのかは明言されていない。何故ティートルが砂の惑星に変貌せねばならなかったか、何故ティートルでなければならなかったのか。彼らはティーターをどう思っていたのか。肝心な事は行間に込められたまま、明かされることはない。

この宇宙には真空という行間がある。存在する物が存在せず、存在しないものが存在する。故に、この行間に描かれたものこそが、ティーターに起きた真実だ。

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