第1修行 鍛える剣士
「ふっ!はっ!」
カシュッ!
「蝶月輪…」
バッ!!
「一刃ッ!!」
カチッ…シュバッ!
「…お見事ね、完敗よ。」
「炎華の方こそ、矢の威力が力強くなった気がするわ。」
カチャン。
刀を仕舞い、元の美子の人格へと戻る。
「体動かしたらお腹空いてきちゃった…良いお店知ってるんだけどお昼にどう?」
「そうだね。そこでお昼ご飯食べちゃおうか。」
炎華とは一度実力を試されて以降、友人の間柄となっていた。今日は私から修行相手を頼んで一緒に修行していたのだ。次いつ強力な妖怪が現れるか分からない…いつ来てもいいように力を付けておく必要がある。もう二度と「あんな悲劇」を起こさないように…
ー街ー
「お待ちどうさま!天ぷらうどん二杯だ!」
席にどんと置かれた熱々のうどん…上には大きい海老の天ぷらが二つと細かいネギが乗っかっている。
「頂きます。」
ズルズル…ゴクッ。
「美味しい!うどんのコシもしっかりしていて出汁もきいてる!」
「でしょ?ここの天ぷらうどんは絶品なのよ。」
天ぷらも美味しい出汁が染み込んでいてしっかりと味がついている。久し振りに活力になるものを食べたかも…いつも妖怪退治屋は忙しいけど、ここのところは特に凄かったからなぁ…
ー数十分後ー
「はぁ~…美味しかった!ありがとう!炎華!」
「別に私はお礼を言われるまでのことはしてないわ。」
「それじゃあ、私は仕事があるから…またね!」
「うん!お仕事頑張って!」
ここで炎華と別れ、自分は妖怪退治屋の仕事場へと戻った。
ー数日後ー
「少し失礼するぞ。」
「酒王さん!」
酒王さんはいつものように私達の様子を見に来てくれた。珍しく今日は妹の酒殿さんと一緒ではないみたいだけど…
「酒殿はどうしたって顔してるな。あいつなら朝から温泉行って酒を飲んでる。」
「そ、そうなんですか…」
そうだった…酒王さん達は他人の顔とかで感情が分かるんだった…
「最近良く修行してるんだってな。上手くやれてるか?」
「はい…でも、私はもっと強くなりたいんです。もう二度とあんなことを起こさないためにも…」
「お前の気持ちは良く分かる。だが思い詰めすぎるのもよくない。そうだな…修行するなら俺は良い奴を知っているぞ。」
「その人とは…?」
「あぁ、そいつはな……」
ー山ー
「本当にこんな大きい山にいるのかな…」
『酒王さんが言うんだからきっと間違いはないはずよ。』
大きくそびえる山々に場所が書かれた小さな紙切れ一枚を持って山の中へと入る。今日の内に着けば良いけど、迷ったらどうしよう…
ー数時間後ー
「ねぇ玲子ちゃん…絶対あの人だよね…」
『そうだと良い…というかそうにしか見えない…』
私達の向かう前方に大きな岩があるのだが、その上に人があぐらをかいて座っている。どこからどう見ても怪しい…
「すみません!「天閣」という方はあなたですか?」
「いかにも…私が天閣だ。酒王から話は聞いている。私の元で力を付けてほしいのだな?」
その柔らかい口調で天閣さんは何かを見据えるかのようにこちらを見た。
「はい、その為に私達はここへ来ました。」
「ならば話は早い。ようこそ…私の修行場へ。」
続く。
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