第4修行 想像を壊す者
ー数日後ー
「よし…瞑想の精度も順調に向上している。確実に強くなっているのが分かるよ。」
「ほ、本当ですか…?」
初めの瞑想から数日、変わらず自身の心の世界で玲子ちゃんと共闘していた。次々に出現する過去の妖怪を倒して修行を行うの繰り返し。後はこれといって修行らしいことは無いが、空いた時間に剣術の鍛練をしていたというぐらいか…
「………!!」
「…?どうかしたんですか?」
「もうじき、「奴」が来る…」
「奴って一体…?」
ササササッ…
「来るぞ!避けるんだ!」
バッ!!
「死ねェ!!天閣ーーーッ!!!」
茂みからまるで忍者のような格好をした男がいきなり現れた…!?
「い、いきなり何なのっ?」
「おっと…お取り込み中だったかクソ野郎。」
「今度の用件はなんだ?苧環(おだまき)…」
苧環と呼ばれる男は背中に巨大な巻物を背負っている。
「天閣さん、この人は…?」
「苧環…昔、私が破門にした弟子の妖怪だ。破門にした後もしつこく命を狙われている…」
破門されただけで命を狙うなんて…!いくら何でも酷すぎる!
「次はその娘を弟子にしたのか、天閣のクソ野郎よぉ…」
「それがどうしたと言うんだ。」
「ククク…その弟子の娘をぶっ殺したらお前はどうなるんだろうなァ?」
「それで…「幻獣の巻物」を手に入れたところで私に勝てるとでも?自惚れも大概にしろ。」
幻獣?あの妖怪が背負っている巻物には何が…?
「天閣さん…私達が行きます。」
「大丈夫なのか?幻獣の巻物の力はとてつもないぞ。」
「私達は今までにも力を悪用する妖怪と戦ってきました…だから…私達を信用してください。」
そうだ…今までだってそうして来たんだ…今更何を恐れる必要がある?
「分かった…君達を信用しよう。だが、くれぐれも無茶はしないでくれ。」
「ありがとうございます…!」
苧環の前に立って、玲子ちゃんと人格を入れ替える。
フッ…
「私が相手よ。苧環…」
「なるほど…殺される奴が自分から出てくるなんてな。」
「天閣さんには指一本触れさせはしない!!」
「やってみろよバカ女がッ!!」
パラッ…
「……!!」
背負った巻物を広げて何かをしている…?
「出てこい火獣!!」
ボフンッ!!
『ブォォォン!!』
「巻物から獣が!?」
まさかこれが…巻物の力だと言うの!?
「くっ…火なら、いきなり力を使うしかなさそうね…」
コォォォォ…
「ハァッ!!」
私の雪女の力なら火も凍らせることが出来る!
「氷刀…」
ガキガキガキ…
「雪花氷輪!」
パキィンッ!!
『ブォォ……』
よし、まずは火獣を撃破!あとは苧環だけ…!
「火獣を容易く打ち破るのか…だがな、これで終わりじゃないぜ?」
「何だって…?」
「来い!!土獣、風獣、水獣!!」
ボフンッ!!
『グジュルル…』
『キシャァァァァ!!』
『ブルルッ…!!』
何となく分かってきた…恐らくこの巻物には各属性の幻獣が入っているのか…!
「果たしてお前は避けられるかな…?」
三体は流石にキツい…それに、苧環自身がいつ攻撃を加えてくるかも分からない。どうするか…
「ぶっつけ本番だけど…やるしかない。」
瞑想をする時と同じように目を閉じ、ゆっくりと刀を鞘から引き抜く。
スッ…
「バカめ!!避けずにまともに食らう気か!!」
想像するんだ…力を抜いて刀を素早く振るように想像を…
カッ!!
「やっちまえ!幻獣ども!」
『グォォォォ!!!』
シュシュシュッ…
「想天ノ刃…!!」
ブシュゥゥゥ!!!
私に向かっていった幻獣達は細切れの如く私の後方で跡形もなく散っていった。これが、私の剣術と想像の力を独自に組み合わせた新技…!
「さて、残すはあなただけ…どうする?」
「まさかとは思わないが、巻物の力はこれだけとは思ってないよなぁ?」
四体もの幻獣を撃破したと言うのに、まだ隠された力があると言うのか…!?
「こっからがお楽しみなんだよ…!!」
ボフンッ!!
苧環はさっきと同じようにいくつもの幻獣を呼び出した…?
「さぁ幻獣達よ…俺の体に「食らいつけ」ッ!!」
グググ…!!
「食らいつく」という言葉に反応して、幻獣達がまるで貪り食うように苧環に覆い被さる。そして…
「あぁ…力が…力が溢れてくるッ!!」
ズドンッ!!
凄まじい衝撃と共に現れたのは各属性の幻獣を纏い、人の面影を失い獣人となった苧環の姿だった…!
「何という…ことなの…」
「ついに解いてしまったのか…巻物の真の力を…!」
続く。
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