本作の妙は、その構成にある。
いわゆる青春群像劇であるが、それらはある相反するキーフレーズから始まっており、主要人物の心情を表している。
彼らに何があったのか、なぜそう思わなくてはならなかったのか。
それらが一つになった時、時間を超えた物語になる。
本作はあらかじめ指定されたプロットを元に書き下ろされたものだが、その数ある作品の中で最も「構成」に工夫を凝らした作品と言える。
さらに驚いたことに、過去の著者作品の中から登場人物が実に自然に登場しているのである。
これらのレギュレーションを遵守した上で、破綻させることなく極上の物語に仕上げている。
企画主として、そして一読者として、広くおすすめする。
いや〜、凄い作品もあったものですね。
ただでさえ難しいとされる今回の企画に合わせただけではなくて、過去の企画の登場人物たちが、それぞれ重要な役割を担って再登場している訳ですから。
えーきち先生の『明日の黒板』と『海が太陽のきらり』の第一弾(『おっぱいきらり』の名称で知られております)を、先に拝読しておくと、より一層お楽しみ頂けます。
もちろん、単独作品としても現時点での最高クラスの一作と申し上げておきましょう(筆者の主観による)。
えーきち先生作品の魅力は、目の前で語りかけられているかのような、文章運びですね。これは、他の方ではあまり感じない。
あと視点人物が固定しているので、より物語に入り込みやすいです。私は大きく感情移入をして読むタイプなので、主人公にシンクロ出来て良いです。
今回の『葉桜』企画作品は、どれも素晴らしくて傑作揃いですが、本作はその中でも存在感を示しております。
2020年現在の将棋界でたとえるなら、『トップ棋士の中でも、渡辺明三冠と豊島将之竜王名人は頭ひとつ抜けてるよね』という感じ?
天晴にございます☀