一気にノスタルジーの彼方へ

 タイトルを見、数字だけのエピソードタイトルが2つ並ぶ様を見て、グッと雰囲気を予感させる。

 読み始めよう。
 冒頭3行で一気にノスタルジーの彼方へ物語を引き込む手腕。
 そこは、色褪せた『茜色』の世界だ。

 積み重ねた歳月と、ゲームの中でだけ巻き戻せる時間。
 鮮やかに甦る情景と、抱き続けた感情。

 嗚呼。
 しかし、二人の間に咲く花の。
 ひまわりではなく、ルドベキアの花に裂くことの。
 何と。
 世界はちょっぴり残酷で、切ない程に公平なのであろうか。

 胸を鷲掴みにされるように心に届く筆圧——リアリスティックだ。

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