しあわせなひとのうた

影月 潤

しあわせなひとのうた


 ぼくはしあわせだ。

 だいすきなひとがいる。

 だいすきなひとが、しあわせでいてくれる。

 ぼくはしあわせだ。


 かのじょはたくさんのともだちがいる。

 かのじょはいつもわらっている。

 かのじょはしあわせだ、と、わらっていっている。

 ぼくはしあわせだ。


 ぼくはかのじょのえがおがすきだ。

 ぼくはかのじょがたのしそうにはなすのがすきだ。

 ぼくはかのじょがしあわせそうにしているのがすきだ。

 ぼくはしあわせだ。


 かのじょはたくさんのひとにしたわれている。

 かのじょはたくさんのひとからだいじにされている。

 かのじょはたくさんのひとをしあわせにしている。

 ぼくはしあわせだ。


 ぼくはかのじょがわらっているのがうれしい。

 ぼくはかのじょがたのしそうなのがうれしい。

 ぼくはかのじょがしあわせでいてくれるのがうれしい。

 ぼくはしあわせだ。


 かのじょはいつもだれかといっしょにいる。

 かのじょはやすみのひはいつもだれかとあそんでいる。

 かのじょはれんきゅうになるといつもだれかとでかけている。

 ぼくはしあわせだ。


 ぼくはたくさんのひとからきらわれている。

 ぼくはたくさんのひとからいなくなってほしいとおもわれている。

 ぼくはたくさんのひとをふこうにしている。

 かのじょはそんなぼくにはなしかけてくれた。

 かのじょはそんなぼくとはなしをしてくれた。

 かのじょはそんなぼくにもわらいかけてくれた。

 ぼくはしあわせだ。


 かのじょといっしょのじかんはたのしい。

 かのじょとはなしをできるのはうれしい。

 かのじょとすごすじかんはぼくにとってかけがえのないもの。

 たとえぼくがきらわれていても。

 たとえぼくがさけられていても。

 かのじょがいてくれるなら。

 ぼくはしあわせだ。


 かのじょとすごすじかんはいっしゅんで。

 なくなってしまうと、なにものこらなくて。

 かのじょとはなすこともなくなって。

 ぼくにだれもはなしかけてくれない。

 ぼくのこえをだれもきいてくれない。

 ぼくのことばをだれも、きいていない。

 ぼくは、しあわせだ


 かのじょのこえはもうぼくにはとどかない。

 ぼくのこえはもうかのじょにはとどかない。

 ぼくのこえはもう、だれにもとどかない。

 それでもかのじょがわらっているなら、ぼくもうれしい。

 それでもかのじょがたのしそうなら、ぼくもたのしい。

 かのじょがしあわせなら。

 ぼくはしあわせだ。


 ぼくはどうなったってかまわない。

 ぼくはどんなにふこうでもかまわない。

 かのじょがわらってくれているなら。

 ぼくはしあわせだ。

 

 かのじょはわらっているのだろう。

 かのじょはたくさんのひとといっしょにいるのだろう。

 かのじょはしあわせなのだろう。

 ぼくはしあわせだ。

 

 たとえだれともはなさずとも

 たとえだれもぼくをみていなくても

 たとえだれもがぼくをきらっていても

 ぼくはしあわせだ。


 ぼくは

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