第964話 【番外編】アマビエさん、勝ち誇る

「言ったな。言いおったな」

「な、なんだよ」


 珍しくヨゲンノトリさんの方がたじろぐ。アマビエさんは面白そうに、ここ数日のことを語ってみせた。


「イタリアから泳いで……」

「そんなダイエットありかよ!?」

「痩せれば好きな物をくれると言ったのはお前だ。諦めろ」


 勝ち誇るアマビエさんはヨゲンノトリさんを連れて、店の外へ出てしまった。これからヨゲンノトリさんがどうなるのか、あまり想像したくはなかった。


「ほどほどにしてくださいよお、アマビエさん」


 僕は小さくなる背中に向かって声をかけたが、アマビエさんは返事をしなかった。

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薬局のアマビエさん 刀綱一實 @sitina77

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